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更新日:2017年11月29日

パピプペポ川柳と五・七・五を使ったコミュニケーション

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第3回
日常を五・七・五にのせて

川柳少女(2)(五十嵐 正邦)講談社
川柳少女(2)
五十嵐 正邦
講談社
  • オンライン書店で買う
ターザン
 雨を題材にしたお話(コミックス2巻・第25句「七々子と雨の七不思議」より)があって、僕はここに出てくる句が好きなんですよ。「雨で一句①」というタイトルの四コマなんだけれど、五・七・五が3コマ並ぶじゃないですか。どんな句かというと、上から「雨は好き 白いゴハンは もっと好き エイジ」、「ゴハン好き ふりかけかけて さらに好き 七々子」「卵溶き じゃことネギ入れ のりパラリ アマネ」。この雨三句は絶品ですよ。
五十嵐
 これは四コマ目の部長の句でオチが成立するように段階的に川柳をコマに割り振りました。最後のコマでオトすのは四コマではベーシックな手法ですけれども、1コマずつ川柳を当てはめていき、順々に崩していくのはちょっと難しかったですね。
ターザン
 七々子ちゃんの句だけでは面白さが不完全燃焼なんだよね。ここに毒島くんとアマネ部長の句が並ぶから連句にも通じる味わいが出てくるんですよ。雨がテーマの句を詠むはずの毒島くんが次の瞬間には白いゴハンを思い浮かべちゃう、まずこの句が秀逸でさ。それを受けた七々子ちゃんはもう白いゴハンにしか頭がいかない。そしてここまで2人の句にツッコミを入れていた部長が最後にこれでもかと言わんばかりのゴハンネタで句を完成させる。部長の句がプロレスでいうところの決め技なんだよ。
五十嵐
 こうやって1エピソード中に登場する複数の句を結び付けて簡潔にギャグとして成立させられるっていうのは四コマの構造ならではだと思います。
ターザン
 この三句も面白いし、僕、雨がシチュエーションの作品そのものが好きなんですよ。雨は恋愛と切っても切れない関係じゃないですか。このお話では雨の日の相合い傘がテーマになっていて、この展開がなんとも映画的ですね。
五十嵐
 そうですね。ベタかもしれないですけれど、物語の展開上、どこかで必ずいれなければならない要素じゃないでしょうか。それに雨の日ってもしかすると、俳句や川柳の詠み手にとっても特別な日なのかもしれません。以前、早稲田大学の俳句研究会を取材させてもらった際に聞いた話なんですけれど、雨の日はメンバー全員で外に出て、情景を体で感じて雨の連想を深めているそうです。その話がすごく面白かったので雨のストーリーを取り入れました。
ターザン
 定番だと調理実習の回(コミックス2巻・第27句「七々子と調理実習」より)でオムライスを作りますよね。女の子が作るオムライスって読者世代にはピッタリハマるんじゃないですか。
五十嵐
 それもありますし、オムライスってちょうど五音なんですよね。だからうってつけの素材でした。
ターザン
 そして必ずケチャップで字を書く。
五十嵐
 ラブコメの鉄板ですよね。雨の話もそうですけれど、僕が作中で使うシチュエーションって、ラブコメではおなじみの設定が多いんですね。そんな定番を五・七・五でしか思いを伝えられない七々子がやることによって新しい色を出すことが出来るんじゃないかって思っています。
ターザン
 定番っていうのはむしろ読者に安心感を与えるよ。
川柳少女(3)(五十嵐 正邦)講談社
川柳少女(3)
五十嵐 正邦
講談社
  • オンライン書店で買う
ターザン
 先日、初めてパピプペポ川柳の句会を開いてさ、普段ツイッターで投稿している詠み手が一堂に会したんですね。この『川柳少女』の中にも句会のシーン(コミックス1巻・第12句「クリスマス」より)があるじゃないですか。この回を読んで、自分の句会のことを思い出したんですよ。
五十嵐
 作中ではクリスマスが舞台ですね。この回では七々子とエイジの出会いを描いています。
ターザン
 ここに出て来る句もまた面白くて、「サンタさん 親父の寝タバコ やめさせて」と毒島くんが詠むんですね。クリスマスだったら思い浮かぶフレーズがいくらでもあるはずなのに、どうしてクリスマスで寝タバコなの嘗て。
五十嵐
 ここでの寝タバコもそうですし、面白そうなフレーズや五・七音の単語はかなりの数をネタ帳にメモしていて、この句もそこから引っ張ってきたんです。おかげでエイジらしい句が出来ました。
ターザン
 それにこの回は四コマがなくて全て大コマで話が進んだから余計に印象に残りましたよ。
五十嵐
 大コマは各回のまとめでも使っていますが、これってコミックスで読む読者を飽きさせないための工夫でもあるんです。
ターザン
 四コマの小さい絵ばかりだと詰まっちゃうもんね。だって僕なんか虫眼鏡を使いながら読みましたもん(笑)。
五十嵐
 雑誌掲載時でも小さいコマばっかりだと見逃されやすいので、そのために大コマを使った絵を取り入れているんです。
ターザン
 大きな絵を描く時はいつも以上に力が入るんじゃない?
五十嵐
 毎週8ページなので他のマンガ家さんよりもページ数が少ない分時間をかけられますし、ここぞとばかりに描きたい欲求を解放しています(笑)。
ターザン
 連載が続く中で、七々子ちゃんたちはずっとこの年齢のまま物語は進んでいくんですか?
五十嵐
 基本は高校生のままいくつもりです。もしかしたら学年はあがるかもしれませんね。
ターザン
 なるほど。高校年代の子たちって1学年があがるだけでまた新しいドラマが生まれますもんね。


型にはまらない川柳だからこそ実現出来た、ターザンさんと五十嵐さんの歳の差約半世紀、異色の川柳対談はお楽しみいただけたでしょうか? 
今後もパピプペポ川柳を切り口にした、ターザン山本さんの対談企画を掲載していきますので、引き続きご期待ください!

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この記事の中でご紹介した本
川柳少女(2)/講談社
川柳少女(2)
著 者:五十嵐 正邦
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
川柳少女(1)/講談社
川柳少女(1)
著 者:五十嵐 正邦
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
パピプペポ川柳傑作選 #0/リアリックス
パピプペポ川柳傑作選 #0
著 者:ターザン山本
出版社:リアリックス
以下のオンライン書店でご購入できます
川柳少女(3)/講談社
川柳少女(3)
著 者:五十嵐 正邦
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
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