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2017年12月12日

工藤 隆著 大嘗祭 天皇制と日本文化の源流

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現天皇の退位の日について話しあう皇室会議が、十二月一日に開かれ、退位の日は再来年四月三〇日とし、翌五月一日に皇太子が即位する方向で固まった。新元号については、政府が二〇一八年中に発表する予定である。新天皇即位後に行なう儀式が大嘗祭である。現天皇が即位した際に行なった大嘗祭を御記憶の方もいるのではないだろうか。しかしながら、この儀式がどのように取り行なわれるのか。その詳細な内容は、ほとんど知られていない。実のところ、「秘すべきところがはなはだ多い」ため、謎も多い。

本書は、この「不思議な祭式」が国家祭祀として姿を現した天武朝から、古墳時代、弥生・縄文時代にまで遡り考察する。大嘗祭に関する基礎知識にはじまり、そのルーツが長江以南地域の古い稲作儀礼にあると推測する。
「大嘗祭の本質は、単なる天皇位継承の政治的儀礼という範囲にとどまるものではなく、縄文・弥生時代にまで根源を持つ、日本文化の最も深い部分に発しているものであり、天皇の存在がいわばヤマト的なるものの象徴的存在であることを示す儀礼なのである」(12頁)。

二一世紀の現在までつづく日本的儀式の、その基層にあるものとは何か。アジアの中における日本。その原初にあった文化と大陸文化の融合。現代天皇制を伝統文化として位置づけ、皇位継承問題にも言及する。大嘗祭を前に、是非とも読んでおきたい一冊である。
この記事の中でご紹介した本
大嘗祭 天皇制と日本文化の源流/中央公論新社
大嘗祭 天皇制と日本文化の源流
著 者:工藤 隆
出版社:中央公論新社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年12月8日 新聞掲載(第3218号)
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