『ガール・パワーの私の初めての本』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

American Picture Book Review
更新日:2017年12月26日 / 新聞掲載日:2017年12月22日(第3220号)

『ガール・パワーの私の初めての本』

このエントリーをはてなブックマークに追加
『ガール・パワーの私の初めての本』は女性スーパーヒーローの絵本だ。アメコミ(アメリカン・コミックス)の大手、DCコミックスの女性スーパーヒーロー8人がそれぞれのキャラクターを表すキーワードとともに登場する。キーワードは各ヒーローが持つスーパーパワーに基づき、女の子たちへの「こんな女性になってね」というメッセージになっている。

最初に登場するのは今年、実写版映画が大ヒットした「ワンダーウーマン」だ。「ワンダーウーマンは“真実"を伝えるために黄金の投げ縄で人々を捕えます」とあり、“真実"がキーワードとして大きな赤いフォントになっている。他のスーパーヒーローにもそれぞれ「“とても強靭な力"で人々を助けます」「“賢い"のでコンピュータ・プログラミングができます」「傷付いた自分と他の人たちを“癒し"ます」などと書かれ、身体的な強さ、頭脳の明晰さ、優れた人間性がまんべんなくフィーチャーされている。

そもそも最初のページには「女の子たちは“ストロング"で“親切"です」とある。アメリカでは“ストロング(強い)"は女性の精神面の強さを褒める言葉として多用される。日本語の「芯が強い」に相当するが、両者はニュアンスが異なる。「芯が強い」は努力を重ねて何かをやり抜く強さを意味しながらも、あえて「芯」を使うことにより、外面は女らしいままであること、かつ努力も苦労もうちに秘め、他者には見せないことが美徳であると表しているように思える。英語の“ストロング"はより直裁だ。アメリカの女性たちは努力して勝ち得た成果を自尊心や誇りとともに堂々と他者に語る。女性スーパーヒーローのイラストは、それを表すかのようにどれも筋肉隆々である。ただし、どのヒーローも露出度が高い、または体の線がはっきりと出たセクシーな衣装をまとっている。いずれの国も、男性には求められないものが女性に求められてしまうようだ。

ところで、表紙には白人スーパーヒーローのみが描かれているが、本文には黒人、アジア系も登場する。アジア系のヒーローとは、黒髪に日の丸のマスク、ミステリアスな鋭い目つきの日本刀の名手で、その名も「Katana」だ。Katanaのページには「いつも刀の練習をしています」とあり、キーワードは“勤勉"と“集中"のふたつ。性別に関係なく、これがアメリカ人による日本人観なのである。
この記事の中でご紹介した本
MY FIRST BOOK OF GIRL POWER/Downtown Bookworks
MY FIRST BOOK OF GIRL POWER
著 者:Julie Merberg
出版社:Downtown Bookworks
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
堂本 かおる 氏の関連記事
American Picture Book Reviewのその他の記事
American Picture Book Reviewをもっと見る >
文学 > 外国文学 > アメリカ文学関連記事
アメリカ文学の関連記事をもっと見る >