2017年回顧 日本史/近世史 地域社会に注目した研究が数多く発表された|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

回顧総評
更新日:2017年12月28日 / 新聞掲載日:2017年12月22日(第3220号)

2017年回顧 日本史/近世史
地域社会に注目した研究が数多く発表された

このエントリーをはてなブックマークに追加
今年は、地域社会に注目した研究が数多く発表された。まず挙げられるのが、東四柳史明編『地域社会の文化と史料』(同成社)である。本書は四部から成る論文集で、古代から近代までの論考二十四編から構成されており、第三・四部に近世の論考が収録されている。特に、「第Ⅲ部 加賀藩研究の視点と史料」では、寺社建築の大工から藩主に至るまで様々な題材からの、加賀藩の最新研究が六論文収録されており、興味深い。
木下光生『貧困と自己責任の近世日本史』(人文書院)は、近世日本の村社会における貧困の歴史を明らかにし、現代の日本社会が抱える問題の原点を探る。ほかに、「地域社会」とは何か考えさせられる、昨年の第六七回地方史研究協議会大会の成果論集、地方史研究協議会編『信越国境の歴史像―「あわい」と「さかい」の地方史―』(雄山閣)をはじめ、谷山正道『民衆運動からみる幕末維新』(清文堂出版)、冨善一敏『近世村方文書の管理と筆耕―民間文書社会の担い手』(校倉書房)、吉岡孝『八王子千人同心における身分越境』(岩田書院)、山﨑久登『江戸鷹場制度の研究』(吉川弘文館)、岩下哲典『シリーズ藩物語 津山藩』(現代書館)などが刊行された。

対外関係史の分野の研究では、荒野泰典編『近世日本の国際関係と言説』(溪水社)、池内敏『絶海の碩学』(名古屋大学出版会)、片桐一男『シーボルト事件で罰せられた三通詞』(勉誠出版)が出され、史料集では、北島万次編『豊臣秀吉朝鮮侵略関係史料集成』全三巻(平凡社)、田代和生編集『通訳酬酢』(ゆまに書房)が刊行された。良質な史料が多くの読者を得ることとなり、研究の深化が期待される。

人物史では、大石学編著『悪の歴史 日本編』下(清水書院)が出された。本書には四十二人登場するが、その中には、名君・名奉行など、一般的には「善」のイメージが強い人物も多数含まれている。その意外な一面を発見できる一冊である。なお、古代・中世の人物を扱った関幸彦編著の上巻も本年の刊行。ほかに、来年のNHK大河ドラマの主人公、家近良樹『西郷隆盛―人を相手にせず、天を相手にせよ』をはじめ、福田千鶴『春日局―今日は火宅を遁れぬるかな』(以上、ミネルヴァ書房)、小池進『保科正之』(吉川弘文館)が出された。また、慶応義塾図書館所蔵の松平定信関連の史料の影印本、高澤憲治監修、吉川紗里矢解題・解説『未刊 松平定信史料』第一期(ゆまに書房)が刊行されたことは注目される。

政治史の分野では、山口和夫『近世日本政治史と朝廷』(吉川弘文館)、荒木裕行『近世中後期の藩と幕府』(東京大学出版会)、横山輝樹『徳川吉宗の武芸奨励―近世中期の旗本強化策』(思文閣出版)など。

その他には、児玉幸多先生論集刊行委員会編『近世史研究遺文』(吉川弘文館)、高野信治『近世政治社会への視座―〈批評〉で編む秩序・武士・地域・宗教論』、吉村豊雄『歴史ルポルタージュ 島原天草の乱』全3巻(以上、清文堂出版)、笠谷和比古『武士道の精神史』(筑摩書房)などが出された。
この記事の中でご紹介した本
地域社会の文化と史料/同成社
地域社会の文化と史料
著 者:東四柳 史明
出版社:同成社
以下のオンライン書店でご購入できます
近世日本の国際関係と言説/溪水社
近世日本の国際関係と言説
編集者:荒野 泰典
出版社:溪水社
以下のオンライン書店でご購入できます
近世日本政治史と朝廷/吉川弘文館
近世日本政治史と朝廷
著 者:山口 和夫
出版社:吉川弘文館
以下のオンライン書店でご購入できます
貧困と自己責任の近世日本史/人文書院
貧困と自己責任の近世日本史
著 者:木下 光生
出版社:人文書院
以下のオンライン書店でご購入できます
西郷隆盛 人を相手にせず、天を相手にせよ/ミネルヴァ書房
西郷隆盛 人を相手にせず、天を相手にせよ
著 者:家近 良樹
出版社:ミネルヴァ書房
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
福留 真紀 氏の関連記事
回顧総評のその他の記事
回顧総評をもっと見る >
歴史・地理 > 日本史 > 近世史関連記事
近世史の関連記事をもっと見る >