二〇一七年度東京女子大学学会主催 公開連続講演会 歴史のなかの『LGBT』 第二回 LGBTを語る ―性の多様性のなかで―  講師:星乃 治彦氏 (十月二三日)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年1月12日

二〇一七年度東京女子大学学会主催 公開連続講演会
歴史のなかの『LGBT』 第二回 LGBTを語る ―性の多様性のなかで― 
講師:星乃 治彦氏 (十月二三日)

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二〇一七年度東京女子大学学会主催公開連続講演会「歴史のなかの『LGBT』」が、二〇一七年十月中旬、四回にわたって開催された。本講演の冒頭、企画を担当した東京女子大学准教授・藤野裕子氏は、今回の連続講演の主旨を次のように話した。

「病院の問診票の性別欄に女性・男性・LGBTとあった。いま一般的に何かLGBTに配慮しなければならないという意識があるが、実はその内実がどういうものかわからないまま、LGBTを異化しているのが現状である。こうした私たちの感覚がどこから作られているのか。それを歴史過程として考えてみることで、現在私たちが当たり前としている感覚の依拠するところが見えてくるのではないか」。先週に続き、連続講演会の第二回をレポートする(全四回)。 (編集部)
第1回
■クィア・ヒストリー

講師:星乃 治彦氏
連続講演会第二回の講師は福岡大学の星乃治彦氏(ドイツ史)。季節外れの台風到来で前日まで大荒れとなった週明け、福岡空港から朝便で駆けつけての講演となった。

星乃氏は本講演の主旨について、「たとえば同性愛の問題を話すときに、LGBT的な方法論と、クィア(Queer)という新しい捉え方とでは原理的に全く違う。現在盛んになっているLGBT研究とは一味違うクィア史の話になると思う」と述べ、講演がスタートした。

二〇〇六年に刊行された星乃氏の著書『男たちの帝国 ヴィルヘルム2世からナチスへ』(岩波書店)は、「セクシュアリティから歴史を問い直すクィア・ヒストリー」という新たな視点で、十九世紀末からナチス、そして現代まで続くドイツ史の深層を掘り起こした歴史叙述。本書を刊行した当時は「LGBT」という言葉さえなく、レズビアンとゲイ以外の多様な概念はまだ同性愛としか言われていない時代だった。そのような状況下で本書を刊行した理由を星乃氏はこう語る。

「“そんな人はいない”というのが前提とされている状況で、そうした風潮になんとか抵抗したいと思い、二〇〇三年、五〇〇人くらいの研究者が参加する学会の場でカムアウトした。そのとき声は震え、足が震えた。その後の昼食会場ではその話題でもちきりだったようであるが、それが十四年前の西洋史学界の状況だった」。
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この記事の中でご紹介した本
男たちの帝国  ヴィルヘルム2世からナチスへ/岩波書店
男たちの帝国  ヴィルヘルム2世からナチスへ
著 者:星乃 治彦
出版社:岩波書店
以下のオンライン書店でご購入できます
2018年1月12日 新聞掲載(第3222号)
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