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更新日:2016年9月9日 / 新聞掲載日:2016年9月9日(第3156号)

新聞小説にハマっている

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このところ新聞小説に嵌っている。日経新聞の朝刊「琥珀の夢」は伊集院静さんと挿絵が福山小夜さんだ。もうひとつは、同じく日経新聞の夕刊に連載中の川上弘美さんと画・皆川明さんのコンビのものである。小説の見事さ、素晴らしさは言わずもがなのものだけど、毎日毎日楽しみにしているのは両作の画の部分である。福山小夜さんの今回の挿絵は、今までの彼女が手がけてきたイラストレーションと少々趣が異なっているような気がする。

ある時、彼女の絵について聞いたことがある。彼女の作品の中に20年ほど前に上梓された素晴らしい「高倉健」の画集がある。生前縁あって高倉健さんと食事をする機会があり、その魅力に俄然画欲を刺激され、肖像画を描くことになったようである。彼女の性格上ひとつのことに没頭すると周りのことに気が回らなくなってくるようだ。数ヶ月そのことに掛かりっきりとなる。取材、下調べ、今までの映画を観る(ヤクザ映画は勿論健さんの映画を見たことがなかったらしい)、その後に制作に取り掛かったようだ。細かいことはともかく、精魂使い果たしたこの作品の後、10年間ほど絵が描けなくなったという話を聞いた。そのスランプ脱出の最初の作品らしい。どうも今までと違うはずだ。伊集院さんの文章を丁寧に描いているところが素晴らしい。

皆川明さんをこの連載で初めて見た時、ある種の衝撃を受けた。ボクが常々思っている小説の行間をイラストレーションに落とし込む術が見事なものだった。凄い新人が登場したものだと思ったからだ。情報を集めてみると可成り著名な人と知り納得はしたものの、新聞小説の毎日毎日が驚きのビジュアルであった。あの若い感性を持ち続けている皆川さんに頭が下がる。見習わなければならない。
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