出版探訪 七月発売 『暮しの手帖』八三号、二七万部 暮しの手帖社 (上) |書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2016年9月9日 / 新聞掲載日:2016年9月9日(第3156号)

出版探訪 七月発売 『暮しの手帖』八三号、二七万部 暮しの手帖社 (上) 

このエントリーをはてなブックマークに追加
久我英二氏
現在放映中の、NHKの朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモチーフとして、注目を浴びている「暮しの手帖社」。物語は、雑誌(ドラマでは『あなたの暮し』)が創刊され、一〇〇万部近くを売り上げる原動力となった名企画「商品テスト」も始まって、いよいよ佳境に入った(最終回は二〇一六年一〇月一日)。

放送が始まって以来、ヒロインのモチーフとなった“とと姉ちゃん”こと大橋鎭子と花森安治という創業者二人に関する刊行物も続々と出版され、創刊号よりぬき復刻版を付録として付けた、七月発売の『暮しの手帖』八三号は発売一週間で売切れ、重版したがまだまだ足りなそうな勢いだという。台風の連続発生の狭間で猛暑となった八月終わり、東京・北新宿の「暮しの手帖社」を訪問した。

久我英二氏
今回、お話を聞かせてくださったのは、暮しの手帖社経営企画室担当兼管理部部長で取締役の小橋琢己氏と同社顧問を務める久我英二氏のお二人。ドラマ放映の反響、出版物の販売状況などを伺った。

「放送が始まって以来、久しぶりに買って読んだという読者の方が増えました。それと、初めて雑誌を読んだという方ももちろん多いのですが、六〇代で初めて雑誌を手に取ったという方、祖母や親が読んでいたという一〇代の方もいらっしゃって、そうした潜在的な読者層にまで届いている実感があります。

雑誌本体の企画でも付録を付けるなど工夫をしました。五月発売の『暮しの手帖』八二号で『暮しの手帖』の前身となった『スタイルブック』復刻版を付けました。続けて最新号の『暮しの手帖』八三号では創刊号復刻版を付録として付けたところ、アマゾンでは発売前に予約で売り切れ、書店店頭では発売一週間でなくなり、何軒も書店をまわってやっと買いました、という読者の声をたくさんいただきました(久我)」

久我英二氏
『暮しの手帖』八三号は、売れ行きを見越して二二万部を印刷したが、さらに五万部を重版し、合計二七万部の発行となったという。雑誌不況の現在、これは驚異的な数字である。ただ、その全盛期は一〇〇万部を超えたとされる雑誌『暮しの手帖』であるが、現在は一七~十八万部を発行、実売は少ないときでも十五万部を下回らないという実績だそうだ。これは、広告を載せない、実証主義というポリシーを高く掲げて、読者の信頼を勝ち得てきた同誌の凄みともいえよう。

「一〇〇万部雑誌の根拠を調べようと、昔の資料や記録をあたったのですが、正確な記録があまり残っていなくて苦労しました。あるところで調べていただき推計すると、花森さんが亡くなった後の、一九七九~一九八〇年にかけて九六万五千部という数字がわかりました。※花森氏は一九七八(昭和五三)年死去(小橋)」

「ところで、興味深い事実があって、広告を載せないことが、『暮しの手帖』のポリシーだったのですが、創刊三号で一度だけ、表四(裏表紙)に資生堂の広告を掲載したことがあるようなんです。その広告にしても昭和を代表するデザイナーの山名文夫さんが手掛けた、広告というよりデザイン的なものだったようですが、それが初刷の分だけ掲載されていて、増刷分からは自社広告になっている。どういう経緯だったのかは、今となってはわかりません。(久我)」 
このエントリーをはてなブックマークに追加
読書人紙面掲載 特集のその他の記事
読書人紙面掲載 特集をもっと見る >
ビジネス・経済 > 出版関連記事
出版の関連記事をもっと見る >