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漢字点心
2018年1月23日

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子どものころ住んでいた町には厄神さんがあって、毎年、一月の一八日と一九日に、大きなお祭りが開かれていた。参道に立ち並ぶ屋台をお目当てに、ぼくも一〇〇円玉を握りしめて出かけたものだ。

「厄年」はやってくるもので、自分で回避することはできない。せいぜい「厄払い」をしてしのぐ程度だ。このように、日本語で「厄」というと、避けられない運命的な災難を指すようなイメージがある。しかし、漢字としての「厄」は、そうでもないらしい。

たとえば、孔子が諸国遍歴の途中、陳という国と蔡(さい)という国の間で政敵に襲撃され、餓死寸前にまで追い詰められたことがあった。明らかに人間が引き起こしたこの事件は、「陳蔡の厄」と呼ばれている。

運命的な災難も避けがたいが、人為的な災難にも、避けがたいものがたくさんある。それが少しでも軽く済むことを願って、今年も厄神さんのお祭りに、多くの人が押しかけていることだろう。(えんまんじ・じろう=編集者・ライター)
2018年1月19日 新聞掲載(第3223号)
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