連 載 ストローブ/ゴダール/外と中 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く40|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
更新日:2018年1月20日 / 新聞掲載日:2018年1月19日(第3223号)

連 載 ストローブ/ゴダール/外と中 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く40

このエントリーをはてなブックマークに追加
ゴダール(手前右)とドゥーシェ(1968年2月)
HK 
 東京で「ストローヴ=ユイレの軌跡」と題したレトロスペクティブが行われているので、ストローブについて少し話をしましょう。ドゥーシェさんとストローブは一応友人なのですね。
JD 
 もちろん、知りあいです。
HK 
 ストローブとはどこで知り合ったのですか。彼もシネマテークに通っていたのですか。
JD 
 ゴダールや他の面々のようにシネマテークで知り合ったのではありません。初めて顔を合わせたのは、リヴェットが一緒にいた時です。1963年か64年だったと思います。なので一応、古くからの友人です。
HK 
 ストローブの映画を見ていて思うのは、映画の外側から映画作りをしているということです。おそらく演劇という観点から映画作りをしているのではないでしょうか。
JD 
 そのような面もありますが、そうではありません。それよりも、インテリによる映画であると言ったほうがいいでしょう。攻撃的なインテリです。
HK 
 僕が言いたかったのは、演劇用語の「異化効果」についてです。
JD 
 ストローブは、確かに異化効果を行なっています。ブレヒト主義者です。画面構成やモンタージュなどの映画を形作る要素から主題に至るまで、ブレヒト主義を貫いています。本人はそれでいいようですが、結局は良くない。
HK 
 ゴダールも似たようなことをしていますね。
JD 
 そう。でもストローブよりも圧倒的に力強く行なっています。なぜなら、ゴダールの場合は異化効果ではないからです。ストローブになくてゴダールにあるもの、それは「映画とは何か」を見せようとする意志です。ゴダールは、映画とは一体何なのかを追求しています。映画はいかにして機能するのかということですね。ストローブとは全くもって異なります。ゴダールは、あらかじめ理論を持っているわけではありません。映画がいかにして機能するのかを考える探求者であり続けています。
HK 
 つまりゴダールのフィルモグラフィーには似たような作品がないということですか。
JD 
 似たような作品は絶対にあるわけがありません。ゴダールはそれぞれの作品で全く異なったテーマについて考察しています。ある時は光について考え、ある時にはモンタージュについて考える、また別の作品では色について考える等々。毎回、新たな事柄を考察しています。
HK 
 それでも一貫して社会的な面はありますね。
JD 
 社会的な面はいつもあります。1950年、『ガゼット・デュ・シネマ2号』に書かれたゴダール最初の記事が、「映画と政治」であったことを忘れてはいけません。ゴダールはまだ20歳にもなっていませんでした。
HK 
 ドゥーシェさんも『ガゼット』の同じ号でデビューしていますよね。
JD 
 確かに。『ブローニュの森の貴婦人たち』の撮影現場を訪れ、ルポルタージュを書きました。
HK 
 そうであるのに、なぜ今ではブレッソンの映画が好きではないのですか。
JD 
 私が嫌だと言っているのは、ブレッソンの作品ではありません。ブレッソンの持っている思考の仕方です。それでも、ブレッソンが偉大な映画作家であることは百も承知です。ただ単に彼の考えが気に入らないだけです。
HK 
 ストローブもブレッソンも、映画の何かを破壊し根本から変えてしまった作家ではないでしょうか。
JD 
 彼らは、私の好きではないような考え方を持っています。それでも彼らの映画をおろそかにしてはいけません。当然のごとく、重要な映画です。
HK 
 例えばゴダールは常に映画の中に留まり続けていますが、ストローブやブレッソンは、それが映画であるかどうかは全く気にしていなかったはずです。
JD 
 ストローブは全く気にかけていません。彼はいつもストローブの映画を作ります。それが少し窮屈に感じるのです。
HK 
 根本的なところでは、ドゥーシェさんもストローブも似たような考えを持っているのではないでしょうか。ここでおふたりを比較して、簡単に述べておきます。 <次号へつづく>

〔聞き手=久保宏樹/写真提供:ジャン・ドゥーシェ〕
このエントリーをはてなブックマークに追加
ジャン・ドゥーシェ 氏の関連記事
久保 宏樹 氏の関連記事
ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」のその他の記事
ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」をもっと見る >
芸術・娯楽 > 映画関連記事
映画の関連記事をもっと見る >