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更新日:2018年1月26日 / 新聞掲載日:2018年1月26日(第3224号)

第158回 芥川賞・直木賞 決 定!

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芥川賞を受賞した若竹氏と直木賞を受賞した門井氏
1月16日、東京都内で第158回芥川賞と直木賞の選考会が行われ、芥川賞は石井遊佳氏の「百年泥」(新潮11月号)と若竹千佐子氏の「おらおらでひとりいぐも」(文藝冬号)に、直木賞は門井慶喜氏の『銀河鉄道の父』(講談社)への授賞が決定した。

選考委員代表の会見で、芥川賞選考委員の堀江敏幸氏は「最初の投票の結果この二作がほぼ頭に出て、各作品の議論を尽くして結果この二作が授賞となった。若竹さんの作品は非常に言葉に活気があり、桃子さんという主人公の身内から爆発的に出てくる東北弁の一人称と、それを標準語の語り手がうまく別の角度から制御している。このエネルギーを持ったバランスの良さが評価された。石井さんの方は、混沌としたインドの現実の中に飛び込んだ日本人女性が、洪水の時に橋のこちらから向こうに渡るまでの間を、現実と奇想と妄想とを織り交ぜながら上手く収めている。若竹さんとは違う言葉の活気の質で、制御が効かないところをむしろ上手に効かないようにしているという魅力があった」とそれぞれを評価した。

直木賞選考委員の伊集院静氏は「第一回目の投票で門井さんの作品が圧倒的に票を集めた。今回一番評価されたのは、初めて歴史的な事実だけではなく、父と子のテーマを愛情を持って描いている点ではないか。ここには父親のことを描きながら、賢治がいかに父親を思っていたかという視点がある。人間の感情が非常に上手く出ていて、賢治を思う父親の気持ち、父親を思う賢治の気持ちが、門井流で軽妙でありながら非常に優しさをもって描かれていた」と述べた。

会場を移しての受賞者会見で、若竹氏は「人生の終盤でこんな晴れがましいことが私に起こるなんて信じられないというのが最初の気持ちだ。この小説では老いをテーマにしたが、先日坐骨神経痛になって初めて老いるというのは大変なことだと実感し、それまでは老いを描いていても頭の中だけのことで、まだまだ本当の老いの大変さをまだ知らないのだと痛切に感じた。今63歳だが、これからも老いについて同時進行で描いていこうと思っている」と話し、方言で作品を書いたことについては「方言は私にとって一番自分に正直な言葉で、自分の底の思いを語るのに最も適した言葉だ。標準語は着飾って体裁を繕う言葉だが、方言で表現することで私の本当の思いを何のてらいもなく言葉として降りてくるのだと思う」と述べた。
銀河鉄道の父(門井 慶喜)講談社
銀河鉄道の父
門井 慶喜
講談社
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門井氏はまず受賞の気持ちを尋ねられて一言「風が来た、飛ぶだけだ」と表現し、作品については「賢治の父親の宮沢政次郎を主人公に、父親から見た賢治を書こうと思っていたのだが、書いていくにしたがってだんだん賢治のことも気になるようになり、最終的には父と息子の関係、あるいはもっと広い意味での親子関係を描くことに結果としてはなった。歴史小説を書くことは今後も変わらないと思うが、ただ歴史が面白いからというのではなく、21世紀の読者にとって価値のあるものを歴史の中に見つけ、それを21世紀の文章で届けていくことが、今までのそしてこれからの仕事の基本線になると考えている」と語った。

石井氏は南インドのタミル・ナードゥ州チェンナイに在住のため、電話での会見となり、受賞について「私としては何年かかろうが作家になりたいという気持ちはまったく揺るがず、何回生まれ変わっても作家になるという気持ちが強かったので、特に焦りのようなものはなかった。今回も淡々と嬉しい。私にとって書くことをやめてしまうと人間をやめることになるので書くことだけは長く続けてきた。書くことは私の業だ。文字を使って世界を表現するという業を背負ってきた」と話した。
この記事の中でご紹介した本
おらおらでひとりいぐも/河出書房新
おらおらでひとりいぐも
著 者:若竹 千佐子
出版社:河出書房新
以下のオンライン書店でご購入できます
銀河鉄道の父/講談社
銀河鉄道の父
著 者:門井 慶喜
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
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