『魂の退社 会社を辞めるということ。』(東洋経済新報社)発刊記念イベント 「稲垣えみ子さんを囲む会」(聞き手=隆祥館書店・二村知子)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2016年8月19日 / 新聞掲載日:2016年8月19日(第3153号)

『魂の退社 会社を辞めるということ。』(東洋経済新報社)発刊記念イベント
「稲垣えみ子さんを囲む会」(聞き手=隆祥館書店・二村知子)

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「生(なま)アフロに会える!」。大阪でのイベント直前、ネット上ではこんな言葉が飛び交ったそうである。
7月29日、大阪・隆祥館書店で、元朝日新聞編集委員・稲垣えみ子さんの新刊、『魂の退社』発刊記念イベント「稲垣えみ子さんを囲む会」が開催された。 この講演は、隆祥館書店の名物企画『作家と読者の集い』の第一三五回として実施されたもので、複数の読者の要望により実現したという。当日は定員を大幅に上回る参加者が詰めかけ、トークを楽しんだ。その講演を取材した。(編集部)


魂の退社(稲垣えみ子)東洋経済新報社
魂の退社
稲垣えみ子
東洋経済新報社
  • オンライン書店で買う
著者の稲垣さんが、そのこんもり丸いもじゃもじゃアタマから、“アフロ記者”として一躍有名になったのは、朝日新聞の「ザ・コラム」に登場したとき。顔写真付きで掲載されたコラムは一種異常な人気となりテレビ出演などが相次ぐ。そして、二〇一四年十月二五日付「アフロの自由 人生は変えられる」から、一年にわたって書き続けたコラムの最終回、二〇一五年九月一〇日付「あれから1年 寂しさを抱きしめて」で、稲垣さんは自らの退社を読者に告げた。
『魂の退社』は、退社後初の書き下ろしエッセイ。五〇歳で退社に至るまでの“助走期間”が、ターニングポイントとなった会社員生活の折々を振り返りながら綴られる。 
最初のきっかけは三八歳のときの「人事異動」。島流しと揶揄される地方勤務、深夜まで長時間拘束される職場環境で、稲垣さんは、「お金があったら幸せ、みたいな価値観を変えなきゃいけない」と、切実に思ったと言う。
休日の山歩きや農産物の直売所通い、そんな生活がすっかり楽しくなった頃、お金がなくても楽しめる場所でフト気付いたのは、“「ない」ことの方が「ある」ことよりむしろ豊かなんじゃないか”ということだった。
さらに稲垣さんは、原発事故をきっかけに、「原発のないくらし」が本当に可能かを試してみようと「節電」に取り組む。そして行き着いたのが、「電気はない」という前提に立って暮らすこと。テレビ、電子レンジ、冷蔵庫など電化製品を手放した。
便利をなくしたあとに、我慢や忍耐が待っているわけではなくて、「ない」という世界の中に莫大な広がりがある」。
ここにも“「ない」ことの豊かさ”があった。
本書は、「会社を、辞める?」と考えたときに立ちはだかる「会社」と「お金」という巨大な壁に、たった一人、アフロヘアをなびかせて立ち向かった一人の女性の“笑いあり、涙あり”の闘いの記録であり、「魂」の独立宣言でもある。とはいえ、五〇歳にして人生初の無職で、引越しができない、カードが作れないと、無職ビギナーにとって「会社社会」は甘くないのだが、それも含めて稲垣さんはいま、希望にあふれているのである。
無限の可能性に満ちた新しい世界は、気づかないだけですぐそこに広がっているのかも知れない。わたしにも、あなたにも。 
この記事の中でご紹介した本
魂の退社/東洋経済新報社
魂の退社
著 者:稲垣えみ子
出版社:東洋経済新報社
以下のオンライン書店でご購入できます
アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。/朝日新聞出版
アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。
著 者:稲垣えみ子
出版社:朝日新聞出版
以下のオンライン書店でご購入できます
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