田原総一朗の取材ノート「ポピュリズム全盛のヨーロッパ」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2018年2月6日 / 新聞掲載日:2018年2月2日(第3225号)

ポピュリズム全盛のヨーロッパ

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ヨーロッパ各国で、既成政党の支持率が落ち、反既成の姿勢を打ち出す、極右のポピュリズム(大衆迎合主義)勢力が支持率を上げている。一〇年ばかり前には、ドイツやフランスのポピュリズム政党の得票率(下院)は、一〇%前後だったが、二〇一七年には、ドイツが二二%、フランスは二六%に高まった。

フランスのルペン党首の極右政党は、大統領選で、あやうく首位におよびそうであった。

ナチズムへの反省が強かったドイツでも、二〇一七年九月の下院選挙で、極右の「AfD(ドイツのための選択肢)」が第三位に躍進し、ヨーロッパで最も安定していたメルケル政権も少数勢力となってしまった。

オーストリアでは極右の自由党が二〇一七年一二月に連立政権に入り、チェコでは、ポピュリズム政党とされる「ANO」のバビシュ党首が首相に任命された。

そして三月に下院選が行われるイタリアでは、五つ星運動の党首、ディ・マイオ氏が「我々は五年前よりずっと強くなった。私にはすでに勝ったとわかる」と、自信いっぱいで強調した。

これに対して中道左派の与党や元首相のベルルスコーニ氏は、いずれも「ばらまき」政策を打ち出し、ヨーロッパ最悪の政治をどう立て直すかといった政策論は深まりそうにない。

いってみれば、ポピュリズム全盛である。

極端なポピュリズムを打ち上げて当選したのが、アメリカのトランプ大統領であった。

従来の大統領は世界を引っ張り、責任を持つアメリカのあり方を論じて来たが、トランプ氏は、露骨に「アメリカ第一主義」を主張した。

グローバリズムの中で、アメリカは給料が高いので、アメリカの多くの企業は、工場を労働力の安いメキシコやアジアの国々、中国などに移した。そのために、中西部の旧工業 地帯は、ラストベルト、つまり、廃墟となってしまい、多くの白人労働者が職を失ってしまったのだ。

だがポピュリズムは、支持を集めるために敵をつくる。トランプ大統領は、北朝鮮やイスラム各国、そして中国、ロシア、さらにはエスタブリッシュメントなど、内外にやたらと敵をつくり、国民を煽っている。こうしたポピュリズムが、日本でも拡がりつつある。

いまこそ、自由、平等、博愛が大事である。
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