西田政史『ストロベリー・カレンダー』(1993) 愛【あい】(2)男女間の愛情。恋愛。(広辞苑第三版二ページ)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
更新日:2018年2月6日 / 新聞掲載日:2018年2月2日(第3225号)

愛【あい】(2)男女間の愛情。恋愛。(広辞苑第三版二ページ)
西田政史『ストロベリー・カレンダー』(1993)

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なんと広辞苑の説明書きをそのまま短歌として発表してしまったという一首である。なお実際に広辞苑第三版でこのような記述になっているのかは定かではない。今の版だったら「男女間」だけに限定していないかもしれない。五七五七七の定型にあてはめて考えると、この短歌は「あいあいに・だんじょかんのあい・じょうれんあい・こうじえんだい・さんはんにぺーじ」と読み下すのが適当である。

作者は荻原裕幸や加藤治郎らとともに90年代前半に活躍した「ニューウェーブ歌人」のひとり。ポップでハイテンションな恋愛短歌は、今読んでも魅力にあふれている。2000年以降は長らく短歌から離れていたが、最近復帰し第二歌集『スウィート・ホーム』(2017)を刊行した。

「愛とはなんだろう」と悩んだときにとりあえず広辞苑で語義を調べてしまうような男は、本当の意味での「愛」をたぶんまだ知らない。広辞苑のそっけない記述だけでは、「愛」の意味のほんの表面だけしか理解できない。言葉ばかりに囚われて感情が理解できない男だから、「本読んでばかりゐないて愛してるつてかつこよくいつていつてよ」「何よそれケルカモアハレナリケリよ何もいはない方がまだまし」なんて言われてしまうのだ。どちらも括弧書きを含めて歌集に収められているれっきとした短歌。「愛」というものの「わからなさ」を表現するために、逆説的に広辞苑をパロディ的に用いてみせたユニークな一首である。
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