GOOD MAD 長田真作原画展 長田真作✖五味太郎 トークイベント|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年2月2日 / 新聞掲載日:2018年2月2日(第3225号)

GOOD MAD 長田真作原画展
長田真作✖五味太郎 トークイベント

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五味 太郎氏
1月5日、渋谷ヒカリエにて「GOOD MAD 長田真作原画展」オープニングトークが開催、長田真作氏と五味太郎氏の2人の絵本作家によるトークイベントが繰り広げられた。(原画展の会期は1月14日迄)

当日、長田氏は体調不良のためあまり声が出ないアクシデントに見舞われたが、先輩作家の五味氏がうまくフォロー、2人の掛け合いに親密さが随所にうかがえた。

お互いの絵本観についての話をベースに五味氏がトークをリード。五味氏は絵本づくりを農業に例えて、「絵本っていうのは重版してからが本当の勝負の始まりみたいなところがあると思っているんだけれど、長田君の場合、今何冊か本の刊行が済んだところでしょ。それはつまり種まきが終わった状態のようなもので、絵本っていうのはここから先どうやって育てていくか試行錯誤していくことに面白みがあるんです。上手に水をあげたと思ったのに気がついたら枯れてしまっていたり、あるいはその反対に思わぬものがすくすくと成長したりという具合にね。まさに自然が作り出す産物だから、正直な話、未だにわからないことだらけなんですよ」と述べた。長年、最前線で絵本をつくり続けてきた五味氏にとっても絵本は「わからないことだらけ」だという。この発言に対し長田氏は「五味さんにとってのわからないことって、僕が右も左もわからないまま作品を書いていることとは全く意味合いが違うような気がします」。すると五味氏は「それはお前がまだ全然数をこなしてないからだよ」と一蹴。会場は笑いに包まれた。
長田 真作氏
* 次に話のテーマは、海外で絵本を出版することへ移った。端緒は五味氏による「長田くんの本もあと1、2年後には海外の出版社からオファーが来るんじゃない」という発言から。先輩からの思わぬ予言に長田氏は相好を崩した。そして五味氏は自身の絵本が海外で出版されるに至ったエピソードを語った。「最初に海外で出版したのは『みんなうんち』を書いて間もなくの頃で、デビュー1、2年目くらいの時だったかな。スイスの出版社の人がわざわざ俺の本を抱えて訪ねてきたのね。最初は作品の意味がきちんと通じていたのか疑問だったけれど、その場で拙い英語で解説したら、基本的な部分は理解していた。その時にわかったのが絵本というのはあくまで絵を読むものであって、言葉は付け足し程度のものだっていうことなんだよね」と、言語の垣根を越えるのが絵本の魅力だと認識したエピソードを披露。さらに「一般的な文学作品を海外でその国の言葉に翻訳しなおして出版するのは大変だし、本国でも作家としてそれなりに評価されなきゃいけないわけじゃない。絵本の場合、作家デビューして割りと間もないころに海外での出版を経験できるから、早いうちから絵本の持つ伝える力が実感出来るし、自分の作品が海外を行き来する楽しさも味わえる」と外国で出版する魅力を大いに語った。
* トークの内容は、絵本の文体についてへと、展開した。ここで五味氏はノーベル文学賞作家、G・ガルシア=マルケスの独特の表現手法を引き合いに出しながら、「絵本って突然話者が変わったり、登場人物が切り替わったりして文脈が繋がらなくなっても、なんとなく読めてしまうし、それが心地いいんだよね。この感覚って普通の文学作品じゃありえない。しいて言えばガルシア=マルケス作品の読後感に似ているんじゃないかな」。
さらに「ガルシア=マルケスは万人が理解できるように物語を書いているわけじゃないでしょ。そんな彼の文体に付き合いたいと思ったから俺は作品を読み込んだのね。翻って俺は子どもがわかるように書いたりはしないけれど、子どもたちは自分らなりに理解して俺の作品に付き合ってくれる。しかも俺の想像をはるかに越えてね。そんな付き合いが出来るから絵本は楽しいし、長田君にもこれから存分に味わってもらいたい。その上で長田君独特の文体が生まれて、それに付いてきてくれる読者が現れたら最高じゃないですか」と長田氏の今後の活躍にエールを贈った。

イベント終盤の質疑では会場に訪れた長田氏の父が五味氏に質問を投げかける場面もあり、当日会場に詰めかけた満員の観客も展示された原画とともにトークを楽しむ光景が見受けられた。
この記事の中でご紹介した本
風のよりどころ/国書刊行会
風のよりどころ
著 者:長田 真作
出版社:国書刊行会
以下のオンライン書店でご購入できます
もうひとつのせかい/現代企画室
もうひとつのせかい
著 者:長田 真作
出版社:現代企画室
以下のオンライン書店でご購入できます
すてきなロウソク/共和国
すてきなロウソク
著 者:長田 真作
出版社:共和国
以下のオンライン書店でご購入できます
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