黒田寛一 読書ノート第十五巻|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年2月6日 / 新聞掲載日:2018年2月2日(第3225号)

黒田寛一 読書ノート第十五巻

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二〇一五年から三年にわたって刊行されてきた『黒田寛一 読書ノート』が、一二月発売の第十五巻をもって完結した。本シリーズは二〇一六年に亡くなった著者が、終戦から間もない一九四八年から五五年まで八年間、病気療養中のなか記してきた「読書ノート」を書籍化したものである。取り上げられた書籍と雑誌は、合わせると七一五冊に及ぶ。引用箇所はすべて元本にあたり、校訂がほどこされ、各巻巻末には、すべての書籍・雑誌のデータを掲載し、読者の便宜をはかっている。

京都大学名誉教授の加藤尚武氏は、シリーズ刊行に際して、次のような言葉を寄せている。
「黒田寛一に会えば、その断定力の強さに圧倒される。書物・人物についての思想的な評価の厳しさが、彼の断定をすべて受け入れて、彼に付いていくなら、救いが感じられるだろうと思わせるカリスマ性を生み出す。カリスマ性の源泉は、死の切迫を感じつつ、絶対的なものを求め続けた読書体験のたまものであろう。彼の読書ノートという、手すりにつかまっていれば、引き込まれる不安を感じることなく、その深淵をのぞきこむことができる」(「パンフレット」より)。

最新刊である十五巻の内容を紹介する――。一九五四年八月から五五年十一月までのノートが収められている。主だった書籍は、以下の通り。毛沢東『整風文献』、野間宏『現代文学の基礎』、サルトル『唯物論と革命』、王学文『政治経済学の方法論』、梅本克己『哲学入門』、務台理作『現代倫理思想の研究』、セルサム『社会主義と倫理』、トレツキイ『マルクス=エンゲルス国家論』、梯明秀『「疎外された労働」におけるマルクスの哲学思想』、井尻正二『科学論』、ルフェーヴル『美学入門』、城塚登『社会主義思想の成立』。

毛沢東『整風文献』の項の冒頭の一文(「いまごろになってはじめてこの本をよんだことを、まず第一にきびしく自己反省しなければならない」)だけ見ても、著者がいかに真摯に書物というものと向き合ってきたかが見てとれる。また城塚登の著書に関しては、「本書の要点」を十三項目に分けて詳細に紹介したうえで、批評的な分析を添えている。これだけで本文十五頁にわたっているので、実際のノートでは、どのくらいの頁数になったのだろうか。本が血となり肉となる、その軌跡を垣間見るような記述に満ち溢れた一冊である。
この記事の中でご紹介した本
黒田寛一読書ノート〈第15巻〉1954年8月‐1955年11月/こぶし書房
黒田寛一読書ノート〈第15巻〉1954年8月‐1955年11月
著 者:黒田 寛一
出版社:こぶし書房
以下のオンライン書店でご購入できます
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