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2018年2月16日

第5回潮アジア・太平洋ノンフィクション賞 第7回パンプキンエッセー大賞 贈賞式開催

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記念撮影に応じる受賞者と選考委員
2月9日、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで第5回潮アジア・太平洋ノンフィクション賞と第7回パンプキンエッセー大賞の贈賞式が行われた。潮アジア・太平洋ノンフィクション賞はゆき惠ヒアシュ「『玉砕の島』ペリリューから帰還した父」が受賞した。

ノンフィクション賞選考委員の梯久美子氏は「選考経過においても最初から非常に評価が高く、書くべき人が書いた戦史であるという評価でした。14年の歳月をかけた粘り強い取材の成果が花開いた作品です。ノンフィクションは取材力と筆力も必要ですが、それ以前にテーマと出会える力が必要です。その出会ったテーマをいかに自分の元に引き寄せ取材を続けていくか。特に初めて世に出る作品についてはどういったテーマを選ぶかに筆者の人生も現れます。ヒアシュさんはお父様がペリリュー島からの帰還者です。亡くなるまでペリリュー島の戦いのことが忘れられず、そこで亡くなった戦友たちに心を残して亡くなります。最初は父への思いを引き継ぐつもりで現地に行かれたと思いますが、そこで色んな人に出会って、ペリリュー島の戦記を知らなければならないという気持ちになっていったのだと思います。本当に様々な人に出会っています。私は硫黄島について書きましたが、ペリリュー島も同じような経過を辿っているのでペリリュー島についても調べ、生き残った人に取材も申し込みましたが全部断られました。受賞作を読むと私が取材したくてもできなかった人に全部取材しています。それだけでもすごいことだと思いました。それはヒアシュさんの父親がペリリューの生還者だということもあると思いますが、彼女の真面目な取材の姿勢が伝わったのだと思います。また今まで研究者もたどり着くことができなかった新しい史実が出てきます。これまでの定説を覆すような新しい証言や資料も出てきます。これは大変な作品です」と興奮気味に作品を評価し「戦争当事者が書けなくなった時代に戦史を現代の人がどのように書いて伝えていくのか。そのヒントがこの本の中にはある気がします。彼女のセンスや目の付け所や鎮魂の思いや親に対する愛情を客観的に見てノンフィクションに仕上げていく力を感じました。ここを出発点として良い作品を書いてほしい」と同世代の新人作家の登場にエールを送った。

エッセー賞は「お母さん」をテーマとし、たくさんの応募の中から大賞に鍬田広樹「サンマの塩焼き」、内館牧子賞に秋本美佐子「心に残る母の言葉」、鎌田實賞に鈴木百合子「あんたのようになりたい」、出久根達郎賞に片山ひとみ「寿司母、参上!」が受賞した。選考委員が選評を述べる中で鎌田氏は「優れたエッセーは読む側のそれぞれの人生をもう一度考えさせてくれる薬のような役割をしてくれます。エッセーを書く人が増えることによって、読みたいという人が増えればうれしいです」と語った。

会は受賞者がそれぞれ喜びの挨拶を述べ、受賞者を囲んでの懇親会へと移った。また次回から潮アジア・太平洋ノンフィクション賞は名称を「潮ノンフィクション賞」と改めて行われることも発表された。
2018年2月16日 新聞掲載(第3227号)
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