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American Picture Book Review
更新日:2018年2月27日 / 新聞掲載日:2018年2月23日(第3228号)

Aは活動家(activist)のA

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昨年に続いて今年も1月20日に全米各地で「ウィメンズ・マーチ」が繰り広げられた。トランプ大統領にアンチを唱え、女性たちがピンクの猫耳帽をかぶって大行進をおこなったのだ。ニューヨークでは天候に恵まれたこともあり、全米最大規模の20万人が参加。路上の車が立ち往生するほどの人の波となったが、マーチそのものはいたって平和でなごやか。小学生の女の子たちもお母さんといっしょに歩き、「民主主義ってこういうもの!(This is what democracy looks like!)」と繰り返していた。沿道のマンションの窓には「サンキュー!」と書かれた大きな紙が貼ってあり、3人の姉妹らしき少女が参加者に手を振っていた。

そんな子供たちのリベラルな親が子に買い与えるアルファベットの絵本が、『Aは活動家(activist)のA』だ。アメリカでは幼い子供にアルファベットを教えるための絵本がたくさん出ており、たいてい「AはアップルのA」「Bはみつばち(bee)のB」「CはキャットのC」などとなっている。ところが本作は大人もびっくりのリベラル単語のオンパレードだ。

「Dは民主主義(democracy)のD」

「FはフェミニストのF」

「Gは草の根(grassroots)のG」などなど。単語だけでなく、短い詩のような文面になっている。たとえば「NはノーのN/ノー!ノー!ノー!/私たちが欲するものにはイエス/無くさなければならないものにはノー!/ノー!ノー!ノー!」といった具合だ。Nのページのイラストは「正義なければ平和もなし」のプラカードを掲げ、拳を振り上げた親子。読ませる大人の側に脳内体力が要求される。子供が人権無視へのノーとわがままのノーを取り違えないよう教えなくてはならないからだ。さらにLのページは「LGBTQ」だ。親自身がゲイやトランスジェンダーを受け入れていなければ子供に読み聞かせることはできない。

だが、楽しいオマケもある。表紙も含めてすべてのページに小さな黒猫が描かれているのだ。それを親子で探しながらページを繰る楽しみもある。ゴリゴリ・リベラルな作者の、おちゃめな側面だ。(どうもと・かおる=NY在住ライター)
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