田原総一朗の取材ノート「朝日新聞批判の背景には」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2018年3月6日

朝日新聞批判の背景には

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『月刊Hanada』や『WiLL』などの雑誌が、毎月のように「朝日新聞」批判を目玉にした特集を組んでいる。他にも同様に「朝日新聞」を批判する雑誌が増えている。

原論・表現は自由であるから、朝日新聞を批判する雑誌が増えても、そのことについてとやかくいうつもりはない。

ただ、私は、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどのメディアは、基本的には政治権力に対して監視し、間違いや行き過ぎがあれば批判するのが役割だと捉えている。

だから、朝日新聞が、現在の政治権力である安倍政権を厳しく監視して、間違いや行き過ぎを批判するのは、至極当然のことであろう。

そして朝日新聞の記事に誤まりや、矛盾があれば、それを批判するのは自由である。

ただ、毎月のように、それを目玉のように特集を組んでいるというのは、朝日新聞を厳しく批判すると、販売実績がよい、つまり「売れる」のだな、と感じる。それも、以前からではなく、近頃になって、売れるようになったのだな、と実感する。

両誌に朝日新聞批判が登場しはじめたのは、森友、加計問題が起きてからだが、両誌で書いている評論家や学者たちは、安倍内閣が、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使を決めて、メディアや野党が、安倍首相批判を強めた頃から、安倍首相支持を強く打ち出していた。

安倍首相以前の自民党の歴代首相は、鳩山一郎、岸信介以外は、誰一人憲法改正を打ち出さず、専守防衛以上の発言をしなかった。

私は、日本の戦争を知っている最後の世代である。小学校五年生の夏休みに玉音放送を聞いて敗戦を知り、一学期と二学期では、教師やマスコミ、いわゆる偉い人々のいうことが一八〇度変った。一学期には「泥棒するな」といっていた大人たちが、二学期になると「泥棒せよ」といい出したようなものだ。だから、私たちは、偉い大人たちのいうこと、マスコミや政府がいうことも一切信用できない、と強く感じた。これが戦争を知っている世代の感覚である。

だから、政治権力に対しては、どうしても疑心暗鬼になってしまう。

ところが、戦争を知っている世代が少なくなり、この日本、そして日本政府のやり方を積極的に、肯定的に捉える国民が増えた。だから朝日新聞批判が売れるということになるのだろうか。
2018年3月2日 新聞掲載(第3229号)
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