カエルの楽園 書評|百田 尚樹(新潮社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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【書評キャンパス】大学生がススメる本
2018年3月5日

百田尚樹著『カエルの楽園』
関西福祉大学 瀧口有規子

カエルの楽園
著 者:百田 尚樹
出版社:新潮社
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カエルの楽園(百田 尚樹)新潮社
カエルの楽園
百田 尚樹
新潮社
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 私は、この本を手に取った時すぐに読みたいと思った。シンプルな題名と物語に引き込まれていった。

著者の百田尚樹氏は、放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。デビュー作が2006年の『永遠の0』であるのは有名だろう。私が初めて読んだ作品でもある。他にも数々の作品を生み出してきた。

今回の『カエルの楽園』は国家の「予言書」とも言いえるだろう。物語を現実的な表現ではなく、ファンタジーに描いている。そこもこの本の読みやすさのポイントである。

カエルたちは弱肉強食の世界で自分たちの国を追われ、「平和」を探すべく旅をし、辛い放浪の末に夢の楽園にたどり着くという設定で始まるストーリー。カエルたちの旅の先にあるのは「楽園」だと想像していたが、読み進めていくうちにこれは楽園ではないことに気づいた。私が思う楽園は、楽しくて何一つ不自由のない場所であるが、この物語の「楽園」はカエルたちの希望であると思うからだ。「楽園」にさえ着けば、平和に暮らせると思ったから、希望を捨てなかった。だから信じることが「楽園」への道しるべだと思った。

物語には、たくさんのカエルたちが登場する。アマガエル、それを食らうウシガエルなど、体の小さいものから大きいものまで私たちが生活する中でよくみるカエルたちを焦点に当てている。

普段、こういった類の本は手にすることは無い。人の生死を問う、発狂文学ばかりに目を向けてしまう。発狂文学とは、明治~昭和初期の所謂「文豪」と言われる、夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、中島敦などの作品を私なりに表現した言葉である。発狂に美しさがあると思うから、私はこれらの本が好きだ。けれど、読み始めると話は単純だが人間でもあるように、この世界にはピラミッドがある。強い者が上に立ち、弱い者はそれに従う。「皆平等に」と言いながら、実際は平等ではないと思う。それをカエルたちは訴えているようにも感じた。

私も18歳で選挙権を持つ国民として、日本を支えていかなければならない。若者は選挙に行かず、政治問題を知らない人の方が量を増している。そして、カエルは警告している。「今すぐにでも平和が崩れようとしている」と。

多くの人は『カエルの楽園』を読み、何を感じるのか。今後の日本がカエルたちと同じ運命をたどらぬことを願っている。
この記事の中でご紹介した本
カエルの楽園/新潮社
カエルの楽園
著 者:百田 尚樹
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
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