連 載 フランス映画/プロデューサー/ブルジョワ ジャン・ドゥーシェ氏に聞く46|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
読書人よ、集まれ!
▶メールマガジン登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは

ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
2018年3月6日

連 載 フランス映画/プロデューサー/ブルジョワ ジャン・ドゥーシェ氏に聞く46

このエントリーをはてなブックマークに追加
エリック・ロメール(左)と
HK 
 ここまでの話を踏まえると、ヌーヴェルヴァーグには二つの意味があったと言えるのではないでしょうか。『カイエ』が中心となって、映画史の中から来たヌーヴェルヴァーグと、世界中で起きた映画の現代化としてのヌーヴェルヴァーグです。
JD 
 その通りです。
HK 
 ヌーヴェルヴァーグの映画、もしくはヌーヴェルヴァーグ以降としてもいいのですが、フランスの映画はブルジョワジーによって支えられて来たのではないでしょうか。いつも似たような製作過程を経ています。ジョルジュ・ド・ボールガールやカルロ・ポンティのような有名プロデューサーが作品の製作を行って来ました。
JD 
 カルロ・ポンティは、イタリアの映画製作の流れから来て、ゴダールの『軽蔑』などを製作しました。彼はただ単に、プロデューサーを職とする人でした。一方でボールガールは、ヌーヴェルヴァーグとは切り離せない関係にありました。というよりも、彼は他にやりようがありませんでした。最初の頃からヌーヴェルヴァーグの中に入ってしまっていたのです。彼にとっては、全くもって思いがけないことでした。よくわからないままに、ヌーヴェルヴァーグの中で重要な仕事をすることになり、そのまま抜け出すことができなくなった(笑)。彼がヌーヴェルヴァーグの製作を初めた際には、おおよそが形になっていました。ボールガールは、本当に運に恵まれていた人です。
HK 
 ゴダールのおかげで、ものすごく名前が売れたのではないですか。オープニングクレジットにおいて、毎回のように、有名人に混ざって名前が強調されています。
JD 
 ゴダールのおかげで、ボールガールはまた一財産を築き上げました。
HK 
 ボールガールの時代だけでなく、その後のフランス映画を考えても、一握りのお金を持った人が映画を製作してきたのは変わりがないと思います。マリン・カルミッツ(mk2グループの創始者)やサイード・ベン・サイードのような人が、フランスの映画を牽引してきたはずです。
JD 
 マリン・カルミッツは、元々は「1970年」の陣営にいた人でした。つまり、彼は68年の精神を持っていました。68年の精神とは、ヌーヴェルヴァーグからの、一つの重要な帰結とも言えます。
HK 
 そこから派生したマリン・カルミッツはどうなったのですか。
JD 
 彼は体制に反対する精神のなかから出てきたにもかかわらず、最終的にはブルジョワそのものになってしまった。
HK 
 ところで、ドゥーシェさんは68年の五月革命をどのように過ごしたのですか。
JD 
 五月革命のことはよく覚えています。昼間は周囲の人々と同じようにして、デモに参加しました。そして、夜になると、レストランへといって食事をしました。これが私の五月革命です。
HK 
 普段通りだったのですね(笑)。話を戻しますが、結局はマリン・カルミッツのようなブルジョワのおかげで、多くの映画作家に機会が巡っているのではないですか。デ・パルマやポランスキーのようなアメリカでは撮影できなくなった映画作家から、キアロスタミのような自国では撮れない作家までが、フランスでは映画を撮ることができました。
JD 
 確かにそのようなところがあります。フランスの映画とは、今日に至るまで抵抗を続けている唯一の映画です。巨大な資本に抵抗し続けています。
HK 
 そういえば、先日20世紀フォックスがディズニーに買収されたと話題になっていました。
JD 
 ついにダメになったようですね。つい先ほど、初めて『スターウォーズ』を見ました。冒頭を少し見ただけですが、何にも良くありませんでした。
HK 
 現在までにシリーズが十本弱作られていますが、どれを見たのですか。
JD 
 見当もつきません。
HK 
 僕も先日『スターウォーズ』の新作を見ました。500席近くの部屋が、満席になっていたのですが、作品は面白くなかった。テレビゲームのようなつくりでした。テレビゲーム化した方がいいとさえ感じました。 <次号へつづく>
〔聞き手=久保宏樹/写真提供:シネマテーク・ブルゴーニュ〕
2018年3月2日 新聞掲載(第3229号)
このエントリーをはてなブックマークに追加
ジャン・ドゥーシェ 氏の関連記事
久保 宏樹 氏の関連記事
ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」のその他の記事
ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」をもっと見る >
芸術・娯楽 > 映画関連記事
映画の関連記事をもっと見る >