連 載 今日のフランス映画 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く49|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
更新日:2018年3月27日 / 新聞掲載日:2018年3月23日(第3232号)

連 載 今日のフランス映画 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く49

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シャルル・テッソン(左)とひとりおいて中央奥にジャン・ナルボニとドゥーシェ(右端)

JD 
 日本とドイツでは、フランスとは別のかたちで事件が起きるのかもしれません。ヨーロッパのいいところは、異なる歴史を歩んだ小さな国がいくつも集まってできているところです。なので、フランスとドイツの映画のつくりが、今日においても異なるのは非常に面白いことなのです。
HK 
 今日のフランスの映画について、もう少し話を膨らませます。グザヴィエ・ボーヴォワ、アルノー・デプレシャン、セドリック・アンジェ、アラン・ギロディ、バルベ・シュロデール、アンドレ・テシネ、フィリップ・ガレル、こうした作家が、ドゥーシェさんの口からはよく出てきます。
JD 
 フィリップ・ガレルに関しては、確かに今日の映画作家だと言えるところはあります。映画を、先へと進めている映画作家でもある。しかし、私にとってのガレルは、今日まで残り続けているヌーヴェルヴァーグの作家です。彼は68年にはすでに映画を撮りはじめています。その時には17歳だったので、今日では50年以上のキャリアを持つ映画作家ということになります。この意味では、今日の映画作家とは言えません。ガレルは、今日に至るまで映画の最前線に留まり続けている古参の映画作家です。今の映画作家と比較しても、ガレルは最も現代的な映画作家の一人です。その点で、彼が今日の映画作家だというのは事実です。それでも私にとって、ガレルはヌーヴェルヴァーグの映画作家なのです。
HK 
 僕はガレルの映画を非常に好きなのですが、彼の作品そのものに関しては、切り口の見当がつきません(笑)。被写体にカメラを向ければ、そのまま映画になってしまう。近年になると、彼の作品はものすごく簡素な演出でなりたっていますね。
JD 
 時代が新しくなればなるほど、簡素になっていきます。
HK 
 そして、いつも同じ話ばかりである。
JD 
 いつも、似たようなカップルの話です。
HK 
 以前、ガレルが『さらば、愛の言葉よ』を見た後に、ドゥーシェさんに対して一方的に話していたことを覚えています。ガレルは、ゴダールの映画の中でも男女の関係を重要視して見ているようでした。
JD 
 そのようなこともありました。ガレルの身の回りについては、昔から色々と聞かされてきました。
HK 
 今日のフランス映画と言えば、『メゾン ある娼館の記憶』のベルトラン・ボネロはいかがですか。
JD 
 面白い作家だと思います。『メゾン』はいい作品でした。ボネロは、今日のフランスの映画作家です。
HK 
 でも彼は、フェミス(La Fémis 国立映像音響芸術学校)の出身ではないですよね。正直に言うと、今日の映画作家でフェミスの出身者をほとんど知りません。
JD 
 彼はフェミスの出身ではありません。結局のところ、フェミスの出身者で面白い映画を撮っている人は、非常に限られています。デプレシャンがいて、フランソワ・オゾンがいて、ノエミ・リヴォスキーがいます。
HK 
 皆ドゥーシェさんが教えていた時代の学生ではないですか。
JD 
 確かに、皆私の時代ですね。
HK 
 その頃のフェミスの教員には、ジャン・ナルボニ、ジャン=ルイ・コモリ、パスカル・ボニゼール、ジャン=クロード・カリエール、アンドレ・テシネがいました。他にはゴダールも教えにきていました。でも、1996年の例の一件までです(パリ市の行政からフェミスの代表執行役として送られてきたクリスティーヌ・ジュペ=ルブロンが、ドゥーシェたちを映画の大御所と批難した事件。実験映画やヌーヴェルヴァーグのような映画を問題視し、映画教育の制度化を唱えるジュペ=ルブロンに対し、ドゥーシェの側は「順応主義」を教え込むと反論した。最終的に、ドゥーシェたちがフェミスを去る)。
JD 
 その件については、ここで話を終わらせましょう。
HK 
 ところで、バルベ・シュローデルの最新作『尊師W(2017)』(969運動指導者アシン・ウィラトゥのドキュメンタリー)はいかがでしたか。最近まで知らなかったのですが、バルベはこの映画のおおよそを一人で作ったようですね
JD 
 彼がミャンマーを訪れ撮影をはじめたときから、一人で作っているのは知っていました。知らなかったのは、どのような映画が仕上がるかだけです。

<次号へつづく>
〔聞き手=久保宏樹/写真提供:シネマテーク・ブルゴーニュ〕
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