第四八回 高見順賞  贈呈式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年3月30日 / 新聞掲載日:2018年3月30日(第3233号)

第四八回 高見順賞  贈呈式開催

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貞久 秀紀氏
三月十六日、東京・飯田橋で第四八回高見順賞の贈呈式が開催され、貞久秀紀氏の『具現』(思潮社)に賞が贈呈された。受賞者の挨拶で貞久氏は「高見順の詩に「枝葉末節の揺れ」という、そこだけ葉っぱが揺れているという短い詩があるが、僕はそれを鳥や風といったある原因によって揺れているのではなく、因果律以前のところで揺れているのが見えた体験であると僕は読んだ。たとえば子どもがじっと木を見ていると、親が「葉っぱが揺れている」と主語と述語で教え、子どもはそうやって世界を主語と述語で構成していくことを学ぶ。それが「第一の言葉」だとして、次に「風に揺れている」などのように説明されて、ものごとには原因があることを習得していくことを「第二の言葉」だとすれば、一度第二の言葉を学んでしまうと、ものごとを因果で捉える世界から抜けられなくなると思うのだが、僕自身は、ものごとをあるがままに記述するにはどうしたらいいかと今も悩んでいる。しかし世界を主語と述語で捉えてゆく第一の言葉というのも、やはり何かを隠している。そうは思うがそれが何かはいまだに分からない。そういう語りえない何かを、いろんな人がいろんな文化において名前をつけてきただろう。「沈黙」や「無」や「混沌」、あるいは神であるとか死んだ者たちの声であるとかだ。それは永遠の謎であり、接近できないなにかだろう。主語と述語という僕らが手に入れた知恵、基本的な第一歩を大切にしながらも、その言葉によってかえって覆われてしまう何かにも開かれていくような言葉に少しでも近づいていけたらと思っている」と話して、受賞の挨拶とした。
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