【横尾 忠則】ウヘーッ、もう4月? 81年間毎日、死から目を離したことはない|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2018年4月10日 / 新聞掲載日:2018年4月6日(第3234号)

ウヘーッ、もう4月? 81年間毎日、死から目を離したことはない

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2018.3.26
5時間眠って4時に目が覚める。小1時間ほど鈴木大拙の本を読むが面白くて逆に覚醒してしまう。

郷里の西脇のいつも夢によくでてくる市内を走る国道と椿坂が交差したところで二人の老宗教学者とぼくは話をしている。「先っき見知らぬ若者に声を掛けられまして、彼が書いたという書を見せられ、批評を求められたんですけれど、批評は自分でしなさいと断ったその直後、新神戸駅構内の便所にぼくは入ったんです。沢山並んだ便器の前にはさらに順番を待つ人達が並んでいたんですが、やっと一番端が空いたので、そこへ立ったんです。すると隣の男の片端がぼくの両足の間に突っ込んでくるので怒ったんですが、無頓着な奴で、見るとどうもアジア系で、さらによく顔を見ると、西脇でぼくに声を掛けた男じゃありませんか」。二人の学者はぼくの話を怪訝な顔をして聞いている。時空がエッシャーの絵のようにからみ合っていて上手く説明ができなかったからだろう。

東宝スタジオへ依頼されたNHKの大河ドラマ「いだてん」のロゴのスケッチを持って行く。沢山の人達が集まってきてワォーと叫んだ。役柄で頭を丸めたばかりの中村勘九郎さんも「カッコイー」と目を丸めた。

食堂でNHKの人達とカレーを食べている時、声を掛けてくれた俳優さんがいたが、目がピンボケで一瞬誰だか認識できなかったが、岡田准一さんだとわかって、「先っきはどーも」とメールをすると、すぐ返事が戻ってきた。

三菱一号館美術館にて館長の高橋明也さんと(撮影・徳永明美)
2018.3.27
 三菱一号館美術館のルドン展を妻、娘、徳永らと。オルセー美術館での記憶はあるが、今日ほどじっくり観なかったので、ルドンの秘密の花園がわかったような気がした。館長の高橋明也さん、野口玲一さんらと昼食のあと、庭園でお登りさん気分で記念写真を撮って、今までの展覧会のカタログをどっさりいただいて帰る。

岡山から黒住教の元教主のお孫さんの黒住宗芳さん来訪。今日日こんなにしっかりした27歳は珍しい。

パリから帰国中の白羽明美さん来訪。明日、カルティエのエルベさんに会うというので、「展覧会は無理なので画集を出す」と一言伝えてと、ことづけをする。

2018.3.28
 朝日新聞の書評担当を退任する依田さん、旧担当の加来さん、新担当の西さん、そろって来訪。3人と増田屋へ行って、帰りに、喜多見不動堂、桜満開の野川ビジターセンターなど寄り道をしながらアトリエへ。今日の散歩のノルマを果たす。

夜、書評委員会へ。新しい委員に女性が4人加わって計6人になる。諸田玲子さんは顔見知り。

2018.3.29
 今年ももうアッと言う間に3ヶ月が過ぎた。時間の早い遅いは絵の作業時間と制作労働が判定するようだ。他のことでいくら忙しくしたからって、大して充実しない。やはり絵に勝るものはない。絵の量と時間の量は比例するように思う。

早朝から野良猫2匹が無言の朝食を催促。ふたりで「行こうよ」って相談して来るのかな。

「ハーパーズバザー」が死後生についてのインタビューに。
アトリエにてバーバラ・キャステリさん、難波英夫さんと(撮影・徳永明美)

2018.3.30
 2年振りで150号の大作にとりかかっている。以前は半日で描き上げたこともあったが、今は昔。何日かかるかわかりません。

この間、神津善行さんに紹介された神戸屋へ。予約を入れていたためか、神津さんと店長が表まで出迎えに。神津さんは打合せ場所に使っておられるようだ。

午後、町田市立国際版画美術館の滝沢さんと東京新聞の古田さんら来訪。

神戸の山本さんが次々回の展覧会、自分でキュレーションをする「自画自讃」展の打合せに。新作をできるだけ沢山描きたいと思うが、気力と体力との相談だ。

夕方、セゾン現代美術館の難波英夫さんとニューヨークのレオ・キャステリ・ギャラリーのバーバラ・キャステリさん来訪。60年代の東京とニューヨークについての質問攻め。アトリエにころがっているタマの絵が気に入って、一点購入希望。60匹のタマが一匹いなくなるのは寂しいけれどニューヨークに行くのも、まあエエか。3人で桂花へ。

2018.3.31
 アトリエと公園で鈴木大拙を読書。花見客であちこちにマネの「草上の昼食」やスーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」風景が散見される。

夕方からスポーツマッサージに。長距離散歩を始めたせいか、腰痛。施術の効果があって、痛み半減。

夜は鈴木大拙片手に睡魔境へ。

2018.4.1
 ウヘーッ、もう4月? あと何日寝たら死ぬのかなあ。81年間毎日、死から目を離したことはない。

久し振りに本を買う。鈴木大拙「浄土系思想論」「スエデンボルグ」、平田篤胤「仙境異聞・勝五郎再生記聞」(しまった! 買ってから気がついたが、すでに読んでいた)。

描きかけの巨大な自画像を前に、ただ沈思黙考。無為なり。
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