プロレス秘史1972-1999 書評|小佐野 景浩(徳間書店)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2018年4月7日 / 新聞掲載日:2018年4月6日(第3234号)

やめられねぇなぁ~プロレス! 
試合の年月日を自分の人生の年表と照らし合わせる楽しさ

プロレス秘史1972-1999
著 者:小佐野 景浩
出版社:徳間書店
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「いや~二日酔いで寝不足だぁ~あれさえ観なかったらなぁ…」50歳を過ぎ大人にならなければならない筈の私を「ダメ人間」にした原因は一体なんだ?

答え! 自宅で早い時間からの晩酌からのぉ~酔いも廻ってテレビもつまんねぇからのぉ~動画サイトで懐かしのプロレスの試合を見出したらぁ~のぉ~次から次へ思い出の名勝負が繋がって見続けてのぉ~気がついたら朝だった! という流れ。この「プロレスあるある」的なダメ人間な生活を続けているプロレスファンって私だけではあるまい。

プロレスの過去の名勝負・迷勝負はネット画像の素材の宝庫となっていて、1試合を観てしまったら無限に次のプロレス動画が現れ魅入ってしまう。わかっちゃいるけど止められない常習性のプロレス。そんな生活を続けている私であったが、その動画サイトから次から次のランダムなプロレス映像のチョイスに違和感を持つようになっていた。
「なんかもの足りねんだよなぁ…そうだ! この試合がどうして組まれたり、意味があるのかっていう解説が足りねぇんだ!」

昔、我々世代のテレビっ子達は、レンタルビデオ屋やインターネット放送が普及していない時代にテレビ画面の前に張り付き洋画劇場に釘付けだった。

「あの超大作がいよいよ地上波テレビ放送!」の重みが現在よりも格段に重く、茶の間のテレビっ子の画面に対する集中力は大変なものだった。その洋画劇場には淀川長治、荻昌弘、水野晴郎などの名解説者が登場し、映画の放送前に我々の期待を煽ってくれて、放送が終わるとまた登場して〆てくれた。そう、その年代で育ってしまった私の動画サイトへの物足りなさはそれだったのだ。そんなLPレコードを買ったらライナーノーツ、映画のパンフレットでのプロダクションノートを貪るように読むのが好きな年代には本書はまさにその穴を埋めてくれる役目を果たしてくれる。

本書で登場する152+1の試合の意味や当時の状況が解る事は勿論の事。試合の年月日を自分の人生の年表と照らし合わせて考えさせてくれるのが本当に楽しかった。「オレが生まれる前に猪木は新日を旗揚げしたのか」と改めて気づかせてくれ、「あの頃の馬場の年齢をオレはとっくに越しちまったんだなぁ…」やらプロレスの大先輩の著者の小佐野さんと同じく「プロレスと共に生きてきたんだなぁ」を実感。1972年の新日本プロレスと全日本プロレスを旗揚げした猪木と馬場の両者はとにかく忙しかった! って事へのリスペクト。お互いに向こうの団体への負けじ魂と団体を大きくする為の興業戦争時代の二人は本当に働き者だった。必死になった両者のがむしゃらな労働によりプロレスの礎が日本に根付き、本書の1999年までに登場するレスラーたちのストーリーが続き、そして現在もプロレスは続いている。

プロレスをテーマに次々に「年代シリーズ」の書籍が出版され、その書籍へのカウンター本が出版され、力道山から続く「最終回がない大河ドラマ」はいつまでも続く。改めてプロレスとは決して出涸らしにならず、鯨と一緒で捨てる所がない。私も「いつまでプロレス追っかけてんだよ!」と呆れてるが、私よりも長く追いかけている小佐野さんも同じセリフを自分に言い聞かせて本書を上梓したのだろう。本書は身体に染み付いてしまった常習性の高いプロレスを小佐野さんの筆でさらに濃度を高める一冊なのである。

嗚呼…やめられねぇなぁ~プロレス!
この記事の中でご紹介した本
プロレス秘史1972-1999/徳間書店
プロレス秘史1972-1999
著 者:小佐野 景浩
出版社:徳間書店
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