【横尾 忠則】気分に支配されることは脳に左右されるより、ずっと形而上的だ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2018年4月17日 / 新聞掲載日:2018年4月13日(第3235号)

気分に支配されることは脳に左右されるより、ずっと形而上的だ

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2018.4.2
 展覧会の記者発表をニューヨークのチェルシーのレンガ造りのビル内で行うことになっているが、通りの人達やビル内の人達全員が日本人。一体ここはアメリカ? 日本? 急にドタキャンしたくなるがわざわざ堤義明さんが来られているので中止するわけにはいかないだろう。

河出書房新社の岩本さんが、豊島横尾館のガイドブックのプランが出来たので、現地取材の準備を進行しましょうと来訪。

2018.4.3
 椹木野衣さん司会のシンポジウムに参加。「宗教と芸術の関係は?」と問われる。この二つは別々に考えた方がいいと思うと答えたけど、夢の中の解答には責任は持てません。

難聴のぼくに毎朝、妻は大声で「ゴハーン!」と言いながらベッドに朝食を運んでくれる。この習慣は40年近く続いている。40年前に初めて入院した時、先生は退院してもしばらく病院生活を続けて下さいと言われたのが、未だに続いている。あの時の病気がまだ治っていないのだろうか。

午前中、巨大自画像に筆を入れるが完成せず。カルティエのアーティストの肖像画の追加3点を一気に仕上げる。ついでに放置していた未完の小品も完成させる。本日のエネルギーは40代なり。

夜、散歩がてらに三省堂で鈴木大拙『大乗仏教概論』『禅のつれづれ』『禅とは何か』と大拙づくめ。『大乗仏教概論』はすでに持っていた。この間から余計な反復買いばかりしている。

2018.4.4
 鳥越俊太郎さんから「お茶を飲んでいきませんか」と小学校の廊下で声を掛けられる。「団十郎さんと一緒なので、ちょっと待って下さい。呼んで来ます」。鳥越さんの出してくれたお茶は温めたサイダーだ。「お父さんがまだ海老蔵さんだった48年前に会ったことがあるんですが、亡くなられる少し前に会った時はきっと忘れておられるだろうと思って「初めまして」と挨拶をしたら、「ごぶさたしています」と言われて びっくりしてしまったんですよ」と温いサイダーを飲みながら団十郎さんに話す夢を見る。先代の団十郎さんの件は事実である。虚実一体なり。

この日記では、わざと「夢」と断らないで虚実をジャクスタポジション(並置)させているので本紙編集者の角南さんは時々????になるらしい。この間の中村勘九郎さんも岡田准一さんも非物質的存在ではなく歴とした肉体的存在です。

ビジュアル系のロック「LM.C」のヴォーカリスト、mayaさんとギタリストのAijiさん来訪。CDジャケットの依頼に。ぼくの半分の年齢のミュージシャンがぼくを必要としてくれるのは尊敬に値します。
アトリエにてLM.Cのmayaさん、Aijiさんと(撮影・徳永明美)

2018.4.5
 大阪駅構内の一角にタカラジェンヌ風体の女性達がたむろしていて、何やらこちらに視線を投げてボソボソ言っているので、顔見知りのタカラジェンヌかな? と思って近づくが、知り合いはひとりもなく、お互いに面識がないことを確認。ハイ、サイナラ。これは虚。

やっと150号の自画像に最後の一筆を入れて、未完的完成。この調子なら150号に再挑戦も可能な気がしてきた。

夜、スポーツマッサージへ。腰痛治療。

2018.4.6
 猪熊弦一郎さんが「『漫画少年』のエート、えーと、想い出せないなあ」とおっしゃった時、頭の中に「漫画少年」の背景が緑色で、少年達がミコシをかついでいる斎藤五百枝の絵が頭に浮かんだ。そのことを伝えると、「どーしてそんなことが解るんですか、その表紙のことを言おうとしたんです」と話はここでプツン。これは虚。

昨日から描き始めたニューヨークのコレクターからオファーを受けているNYのY字路にやっと腰を上げる。昔のNYと現在のNYを共存させる。

下関青年会議所の尾崎氏来訪。水族館の建物にモザイクアートを子供達に制作させるその原画の依頼に。現実的に技術的な問題が解決すれば可能かも知れないが、即答は控える。

夜散歩。昔は30分散歩は相当の距離だったが、最近の30分は、遅足のためその辺りをチョロッと歩いてタイムオーバー。

2018.4.7
その気になれば小品なら一日一点は描けそう。それも気分次第だけれどね。気分に支配されることは脳に左右されるより、ずっと形而上的だ。

2018.4.8
 美術関係者、そのほとんどが評論家。建畠晢さんだけにピントが合っているけれど他の人は誰だかわからない。やがてテーブルに料理が運ばれてくるのだろう。たったこれだけの夢。夢は現実を模倣する。

ニューヨークのY字路オファーを受けて1年目に完成。1年考えて、たった2日で描き上げるがこの時間が必要。

日野原重明先生と金子兜太さんの対談集を買う。

妻、庭ですべって、ころんで顔と腰、殴打。そんなわけで夕食は出前。

夜、マッサージへ。腰痛はかなり快復。病気を作るのも、治すのも自分。健康も気分で躰とつきあえばOK。あんまり健康を目標にすると健康おたくという病気になる。
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