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更新日:2018年4月27日 / 新聞掲載日:2018年5月4日(第3237号)

〈韓国文学のオクリモノ〉作家来日イベント (韓国文学翻訳院/晶文社共催) 
『誰でもない』ファン・ジョンウンさんを囲む 
一夜かぎりの読書会@神保町・ブックハウスカフェ

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第3回
■誰でもない(アムドアニン)/何でもない(アムゴットアニン)

倉本さおりさん(書評家)
『誰でもない』は、二〇一三年から二〇一五年に発表された短篇を集めた作品集だが、ファンさんは刊行の準備をしながら、この本を出したくないと思っていたという。

「五番目の「誰が」までが二〇一三年に発表した作品で、あとの三作が二〇一四年から書いた小説。私は本にプロフィールを入れるのが好きではなくて、目次もなしで発表した時期も伏せようと思っていた。けれど、この短編集だけは発表した時期を出した方が良いのではないかと思った。なぜかといえば、この発表時期を見れば、韓国で生きてきた人ならわかるような、でも目には見えない境界がある。日本でどういうふうに報道されているかわからないが、韓国では二〇一四年にセウォル号の事件(韓国の仁川港から済州島へ向かう大型旅客船・セウォル(世越:SEWOL)号が海上で転覆、沈没した海難事故。修学旅行中の高校生を含む乗員乗客三〇〇名以上が犠牲となった)があった。事件のあと、私は韓国社会に幻滅し、ものを書くことに何の意味があるのかと考えるようになった。人々がどんなに苦しい中で生きているのか、私もその中で生きていることを実感しながら、こんなに乱暴でさびしくて攻撃的な作品を世の中に出したくないと思っていた」
作品は揃っていたが、本にする作業は進めていなかったという。

「あとの三作の情緒が圧倒的だったので、本を出したいという連絡が来たときは迷っていた。韓国的な脈絡を知らない日本の読者がこれを読んだときにどんな印象を受けるか、とても心配だった。だから、たくさんの方が共感したという感想を聞いたときに安心する一方で、とてもさびしい気持ちにもなった」

それは、日本の社会にも共感できるような出来事があったということになるからだ、と言葉を慎重に選びながら語った。
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この記事の中でご紹介した本
誰でもない/ 晶文社
誰でもない
著 者:ファン・ジョンウン
出版社: 晶文社
以下のオンライン書店でご購入できます
野蛮なアリスさん/河出書房新社
野蛮なアリスさん
著 者:ファン・ジョンウン
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
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