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漢字点心
更新日:2018年5月1日 / 新聞掲載日:2018年5月4日(第3237号)

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子どものころ、奈良県の明日香村で、「鬼の雪隠(せっちん)」なるものを見たことがある。古墳に使われていた巨石がむき出しになったものだが、鬼のトイレのように見えるというので、こう呼ぶらしい。

さて、この「雪隠」ということばでは、「隠」という漢字を「ちん」と読んでいる。しかし、漢和辞典をいくら探しても、この字に「ちん」という読み方があるとは、書いていない。なぜなら、「せっちん」とは、「雪(せつ)」と「隠(いん)」がくっついた結果、「つ」と「い」が縮まって「ち」と読むようになって生まれた読み方だからだ。現在の日本語では多くはないが、昔の仏教の書物では、こういう読み方はよく見られる。

一説によれば、「雪隠」とは、「雪竇(せっちょう)」という有名なお坊さんが、「霊隠寺」でトイレ掃除の係をしていたことに由来することばだという。大いに眉唾ではあるが、読み方の特色だけからすれば、ありえなくないかもしれない。(えんまんじ・じろう=編集者・ライター)
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