藤沢靖介、斎藤洋一、吉田勉が語る 『東日本の部落史 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 (東日本部落解放研究所編、現代書館)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年5月11日 / 新聞掲載日:2018年5月11日(第3238号)

藤沢靖介、斎藤洋一、吉田勉が語る
『東日本の部落史 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』
(東日本部落解放研究所編、現代書館)

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昨年末、現代書館から東日本部落解放研究所編『東日本の部落史Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』が刊行された。東日本の部落の歴史と文化の全容を明らかにした初めての論集について、執筆者を代表して藤沢靖介、斎藤洋一、吉田勉の三氏に本書の読みどころや刊行の意義などを語っていただいた。 (編集部)
第1回
地域史料を丁寧に発掘

藤沢 靖介氏
藤沢 
 東日本部落解放研究所は一九八六年に設立されました。歴史部会では関東を中心に研究会を行い、各地の部落や研究者と繋がってきました。そしてそれぞれの地域の具体的な状況について、会員や読者の声の蓄積がありました。これらについてまとめる必要性はわかるけれど、なかなか大変な作業で五年かかりましたね。しかしやらないと先に開けない。これまで部落問題研究所が刊行した『部落の歴史』(全三巻、「東日本篇」「西日本篇」「近畿篇」)がありました。その「東日本篇」では長野と新潟と石川・富山は県別に書かれていますが関東、東北はそれぞれ一括りになっています。今回の『東日本の部落史』は「Ⅰ関東編」「Ⅱ東北・甲信越編」「Ⅲ身分・生業・文化編」の構成で関東甲信越、東北とそれぞれの県の研究報告を収録しました。しかし残念ながら秋田は収録できませんでしたね。
吉田 
 そうですね。『部落の歴史』の「関東」では、依拠している史料は埼玉にある鈴木家文書の他、いくつかだけでした。その時は各地域の史料集積ができていなかった。その後に地域史料を丁寧に発掘してきたので県別で書けるようになりましたね。これまでも自分が活動している、或いは暮らしている地域の部落史を読みたいとの意見がありましたがなかなかできませんでした。部落内のリーダーである小頭の家に残されていた文書を研究者が発見し説得して活字化していき、史料の集積ができました。私たちは部落史の研究者ですが、例えば東北の執筆者の浪川健治さん、鯨井千佐登さん、兼平賢治さん、佐治ゆかりさんは、それぞれの研究の中で史料を丁寧に辿った末に部落問題に出会った方たちです。そこが『東日本の部落史』の大きな特徴でもありますね。さらに今回は差別問題を扱っていて、かつ東北を扱っているのにアイヌについて触れないのは変なので特論として浪川さんに書いていただきました。
東日本の部落史Ⅰ関東編()現代書館
東日本の部落史Ⅰ関東編

現代書館
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斎藤 
 周りからの反響を見ると、この部分は注目されていますね。近世の東北にアイヌがいたことを知らなかったと言われましたよ。
吉田 
 長吏集団は旦那場(だんなば)の権利をもとに皮革の処理や草履作りをしていましたが、それと同じようにアイヌも船を作るために木を切出す権利を持ち、船を作って商業活動をしていた。ある種共通しています。「アイヌ勘定」という言葉がありますが、アイヌはシャモに騙されたと聞かされてきたけれど、持っていた権利を使って精力的に経済活動をしている。部落問題と同じで差別ばかりが強調されるけれど、自立の基盤がきちんとあって、色んな活動を展開していることを描けた部分も読みどころになっています。
藤沢 
 他の地域のことはあまり知らないので新しい発見がたくさんありましたね。
吉田 
 制度をつくる側の史料だけではわからないことが地域史料を丁寧に調べると見えてきますね。
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この記事の中でご紹介した本
東日本の部落史Ⅰ関東編/現代書館
東日本の部落史Ⅰ関東編
編 集:東日本部落解放研究所
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
東日本の部落史Ⅱ東北・甲信越編/現代書館
東日本の部落史Ⅱ東北・甲信越編
編 集:東日本部落解放研究
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
東日本の部落史Ⅲ身分・生業・文化編/現代書館
東日本の部落史Ⅲ身分・生業・文化編
編 集:東日本部落解放研究所
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
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