藤沢靖介、斎藤洋一、吉田勉が語る 『東日本の部落史 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 (東日本部落解放研究所編、現代書館)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年5月11日 / 新聞掲載日:2018年5月11日(第3238号)

藤沢靖介、斎藤洋一、吉田勉が語る
『東日本の部落史 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』
(東日本部落解放研究所編、現代書館)

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第2回
関東と東北の穢れ意識

斎藤 洋一氏
斎藤 
 東北についてここまで書かれた本は今までに無いでしょう。でもこれで部落問題がますます一筋縄ではいかないことがわかりました。例えば東北では弊牛馬の皮剥ぎを百姓身分が行なっていたり、そして穢多身分である皮師の待遇が東北では必ずしも悪くない、しかも一般の家と婚姻しているところもあるなど関東では考えられないことがわかりました。ましてや西日本ではもっと考えられないような違いがありますね。
藤沢 
 特に弘前などは様相が違いますね。
吉田 
 江戸時代の関東との対比で言えば、死んだ牛や馬が出たら、非人が皮を剥いで、それを長吏身分が取得して鞣すのが基本的で、このプロセスに百姓身分がタッチすることはない。穢れ意識が関東と弘前周辺では違うのでしょうね。地域社会から見ると皮剥ぎ一つでも担い手も含め全く違います。
斎藤 
 西日本から関東あたりまでは「皮剥ぎ=穢れ」と考えられてきたけれど、東北が入ってきたらそれが通用しなくなる。もっとも東北も一括りにできないこともわかりました。北東北と南東北でも様相が違う。
吉田 
 今までは統一的に考えられていたことがたくさん覆りました。これからはこれをどうやって統一的に理解するかが課題ですね。また今回の執筆者は大学の研究者が各地域に行って調べて書いているのではなくて、基本的にはそこで研究し、或いは住んでいる方に執筆をお願いしています。つまり地域の現実に詳しい方に地域史料に基づいて書いてもらっていますね。
斎藤 
 関東甲信越では解放運動にもコミットしてきた方たちが書いているのも特徴ですよね。それから周りからは、個別の地域史だけでなくテーマに即した「Ⅲ身分・生業・文化編」があるのが良いという反応もありました。
藤沢 
 地域の歴史だけでは分かりづらい部分もあるので、Ⅲ巻に書かれている問題意識が解説的な役割にもなっていますね。
吉田 
 Ⅲ巻は、どこで差別が問題化されるのか、なぜ部落は草履を作るのかなど生活や生業の中でのキーワードを設定してアプローチしています。また部落の家の間取りや写真や図をたくさん入れているので当時の生活風景が目に浮かんで面白く読めると思います。
藤沢 
 問題に入りやすいですよね。草履を作るのがなぜ部落なのかということですが、戦前はそれが主要な副業でした。でもなぜそうなったのか。身分が低いから足の下に敷くものを作らせたなどとも言われていた。そういう説明が教育活動にあると、それはなぜか、となる。これまで差別問題の捉え方は不問に付されていたところがありますね。
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この記事の中でご紹介した本
東日本の部落史Ⅰ関東編/現代書館
東日本の部落史Ⅰ関東編
編 集:東日本部落解放研究所
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
東日本の部落史Ⅱ東北・甲信越編/現代書館
東日本の部落史Ⅱ東北・甲信越編
編 集:東日本部落解放研究
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
東日本の部落史Ⅲ身分・生業・文化編/現代書館
東日本の部落史Ⅲ身分・生業・文化編
編 集:東日本部落解放研究所
出版社:現代書館
以下のオンライン書店でご購入できます
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