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八重山暮らし
2018年5月22日

八重山暮らし(41)

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藍を重ねて染め上げることで想いの深さを表す。内盛スミ作。
(撮影=大森一也)
竹富のミンサーフ


外村吉之介、柳悦孝をはじめとした「民藝」の先達が愛してやまなかった…。

年かさの師は会う度に語る。竹富島に古くから伝わる手技を。途切れることなく継承されてきた由縁を。
「島にいらした先生は、気に入らない着尺を外へ放り投げたから。化学染めの藍糸を二、三本でも入れてはだめ。『あなたたちはこれが藍に見えるのか』って。『島の染料があるのに。藍をだまして使うな』って、たいへん怒られたの…」
「本物の美」への並々ならぬ探究心を前に呆然となる。若かりし頃であった。

島に通う研究家は、竹富のミンサーフに惚れ込んでいたという。深く濃い藍に染められた木綿の細帯。五と四の絣が白く大胆に浮き出ている。それは「いつ(五)の世(四)まで」という永遠の愛情を象徴するという。力と根気のいる手締めの技法によって製織された帯。やや厚みがあり、手のひらにしっくりと馴染む風合いが素敵だ…。
「昔からの島の道具。それが、あなたに似合うから」

深く諭された日もあった。以来、プラスチック製の最新用具を使うのを止めた、と笑む。忘れられぬ人びとをこころに留めながら、ひとときも手を休めることなく生きてきた。彼女の言葉が胸に沁みる。
「忘れてはならないものがある。それが『文化』というものでないかね」
(やすもと・ちか=文筆業)
2018年5月18日 新聞掲載(第3239号)
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