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漢字点心
2018年5月29日

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高校の教科書の編集をしていたころ、漢文の教科書で、「材」という漢字に「さい」とルビを振りなさいという検定意見を受けたことがある。そこでの「材」は、「才能」という意味を表している。だから、「ざい」ではなく「さい」と読まなくてはいけない、というのだ。

漢和辞典的には、「才」にも「材」にも、「さい」と「ざい」の二つの音読みがある。「才」を「さい」と、「材」は「ざい」と読み分けるのは、単なる習慣にすぎない。だから、教科書調査官がおっしゃる通り、「材」を「さい」と読んでもかまわない。ただ、そうしたからといって、この「材」は「才能」を指しているのだということが、高校生に伝わりやすくなるかどうか……。

そのときはそのまま、検定意見に従ったのだったが、あれでよかったのか。納得がいかなくても権威の意向を汲んでしまうことを「忖度」と呼ぶならば、自分の中にも忖度の芽があることに、思いを致すのである。(えんまんじ・じろう=編集者・ライター)
2018年5月25日 新聞掲載(第3240号)
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