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2018年5月29日

■「老いを深みに変えた作品たち」

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■「老いを深みに変えた作品たち」

文藝同人誌はたいてい編集部に届けられるのだが、「街道」の4月25日号は週刊読書人社長宛となっていた。48ページの冊子体で、目次に6人の作品が紹介されている。順に読んでみると、落ち着きのある文章が続き、同人の年齢はやや高いのだろうと推察された。いずこも同じような悩みを抱えているのだろうが、新たな書き手は増えていかない。きっと、心を許しあった長い仲間と温かい時間を共有しながら続いてきたのであろう。私はすぐさま、感想を込めて編集人(代表)の木下さんに手紙を書いた。数日たって木下さんから丁寧なお手紙が届いた。推察したとおり「同人の人たちは高齢で80歳を超えている人がほとんどです」と書かれてあった。

しかし、お手紙をいただいて、もう一度「街道」を読み直してみると、作品はみな若々しい。中嶋英二「石楠花荘の夏」、この小説もおそらく80歳ほどの作者の書いたものであろうが、それを感じさせないみずみずしさがある。作者の体験に基づいたものか、このあと作中の二人はどのように進展していくのか、そういうことまでも思わせてくれる。若い心の持ち主の作者に乾杯!

他同人も、書いている時の胸の中は20代、30代の青年期の血潮が踊っているのであろう。それこそが、こうした文藝同人誌の良さであり、無理に若い仲間を呼び込まなくてもいい、いつまでも若い心を保ち続けて100歳を超えるまで書き続けてほしいと思い直した。ただ、いまどきの若者たちも、10人、20人と仲間を作って、歳を重ねても作品を書き続けていくようになっているといいなあ、というのが、75歳を迎えた「私」の感想でもある。(黒)
2018年5月25日 新聞掲載(第3240号)
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