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2018年6月1日

第61回 群像新人文学賞・ 新人評論賞 贈呈式開催

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受賞者と選考委員一同、前列中央左より石橋氏、北条氏
5月9日、講談社本社にて第61回群像新人文学賞と新人評論賞の贈呈式が行われた。受賞したのは、文学賞が北条裕子氏の「美しい顔」、評論賞が石橋正孝氏の「なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか――コンテンツツーリズム論序説」。

各賞の贈呈ののち、受賞者挨拶で北条氏は「昔から自分のことを、私の気持ちや思考として人に話すことがすごく嫌で、バレたくないと今でも思っている。だけどそれは排泄物のようなもので、相手には見せたくないけれども、どうしても出さずにはいられないというところがあった。けれどもそれを小説にすることで、出さずにはいられないものを出すことが出来るのだと気が付いたときに震えるほどの嬉しさがあった。最初はただ自分のために書き始めたものが、こうして拾い上げてもらい、すごく幸運だったと思っている。この小説は後ろめたさを引きずりながら書いたものだったが、それでも書かずにいられなかったのは、自分の中にある憤りのようなものの正体が何なのかを探す必要があったからだった。この小説は3・11を題材にしているが、そのものをテーマにしたものではなく、人が生きていく上で避けることが出来ない喪失体験とどう対峙し、乗り越えていくかを書くことが出来たと思っている」と語った。

また石橋氏は「実は群像新人賞には二〇〇〇年にも最終選考に残ったことがあり、17年のブランクを経て、二度目の最終候補で光栄にも当選作としていただいた。17年のブランクというのは、自分でも異例の長さではないかと思っていたが、調べてみると20年以上のブランクを経て評論で受賞された方もおられた。そういう方々はその間も地道な研鑽をなさってきたのだと思う。それに引きくらべ私は、たんに発表の場を求める熱意を早々に失ってしまったにすぎなかった。それがなぜこの期に及んで応募する気になったのかと言えば、去年から今年にかけて結婚と就職をするという人生の転機という外的な要因によるものであって、これまで先送りにしてきたことをこれ以上先送りにすることが出来なくなり、いわば自分への景気づけとしてでもあった。そのような事情もあって、原点に自ずと立ち返ったことが、栄誉ある賞を賜る要因の一つになったのではないか。今後とも書き慣れることなく書き続けていきたい」と述べた。
2018年6月1日 新聞掲載(第3241号)
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