異類婚姻譚 書評|本谷 有希子(講談社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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書評アイドル 渡辺小春が読む芥川賞
更新日:2018年6月13日

奇妙な世界観で繰り広げられる不思議な夫婦の形を問う物語
第154回芥川賞 本谷有希子著「異類婚姻譚」(2015年)

異類婚姻譚
著 者:本谷 有希子
出版社:講談社
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異類婚姻譚(本谷 有希子)講談社
異類婚姻譚
本谷 有希子
講談社
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 最近、水曜日の一時間目がつらい。週の半ばということもあるが、火曜日の夜にいつもよりも夜更かしをしてしまうのが一番の要因だと思う。その理由は、毎週火曜の夜11時からフジテレビで放送されている「セブンルール」という番組だ。今輝く女性を密着し、聞きだした七つのルールから人生観をみていくドキュメンタリー番組だ。毎週個性あふれる魅力的な仕事が紹介され、母とハマって見ている。

その番組のキャストが芥川賞を受賞している作家さんだと知り、今回は第154回受賞作品の、本谷有希子著「異類婚姻譚」(初出「群像」2015年11月号)を選んだ。

ある日、主人公は自分が夫に似てきていることに気づき、気味悪く感じ、この日を境に夫婦の形について疑問を持ち始める。夫が具合を悪くしその後揚げ物ばかりを食べるようになるなど、奇妙な出来事が続いてゆく。夫婦とは、蛇のボールの話のように、お互いがお互いを食べ合っているのか、あるいは鉢の土と根のようなものなのか。果たして、自分の夫はどんな形になりたいのか。その答えがわっかたとき、旦那は人間ではなくなってしまった――奇妙な世界観で繰り広げられる不思議な夫婦の形を問う物語。

特に衝撃的だったのはラスト。私の好きな番組「世にも奇妙な物語」のような内容で引きつけられた。でも人間ではなくなるというラストにはじめは違和感があった。しかし、題名の言葉の意味がわかると、その違和感はなくなった。「異類婚姻譚」、譚? 初めて知る言葉だった。異類婚姻譚とは、人間と違う種類の者と結婚をするという意味で、グリム童話「カエルの王子様」のような物語の総称のこと。童話ではよくあるジャンルなのだが、私がこれまで読んできた日本の小説にはあまり目にしない物語だった。
夫婦の形という日常的な要素とファンタジー的な要素が組み合わさった新鮮な小説だと思う。

いつも一緒にいる誰かと自分がそっくりになる。私にも思い当たることがある。最近「お母さんに似てきたね。」とよく言われるようになった。おばあちゃんにいたっては、名前まで母と間違う。写真で見ると身長も同じくらいで、確かにそっくりになっている。だが、ちっとも嬉しくはない。そんな態度をとっていると母に睨まれて「私も睨むとこんな顔になるのか」とますます悲しくなる。このように、一緒にいる人物と同じ動作をしていたり、考え方が似てくる現象をミラー効果というらしい。笑顔の人を見ていると知らずのうちに自分も笑顔になることもそのうちの一つだ。こんな奇妙な現象が、ちゃんと科学的に証明されていて、名前までついているとは知らなかった。とても面白い。

よく感じる不思議な体験と、奇妙な世界観、まだ中学生の私には少し難しい夫婦の在り方。ちょっと大人な異類婚姻譚だ。


【おまけ】キリンの物まねしてみました。
この記事の中でご紹介した本
異類婚姻譚/講談社
異類婚姻譚
著 者:本谷 有希子
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
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