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漢字点心
更新日:2018年6月19日 / 新聞掲載日:2018年6月15日(第3243号)

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太宰治『人間失格』に、主人公、大庭葉蔵が「罪」のアントニム(対義語)を考えるシーンがある。悩んだ末にたどりついた結論は、「罰」。罪と罰とは、絶対に相容れないものだ、というのだ。

「罪」を「つみ」と読むのは訓読みで、「罰」を「バツ」と読むのは音読みだ。「罪」には「ザイ」という音読みがあるが、「罰」にはふつうに使われるような訓読みはない。ただ、昔の辞書を見ると、「罰」も「つみ」と訓読みしてあることがある。つまり、伝統的な漢字の世界では、「罪」と「罰」とはアントニムではなく、シノニム(同義語)なのである。

その背景にあるのは、「罪」とは社会に対する反逆であり、「罰」とは社会がそれに与える制裁だ、という考え方だろう。しかし、大庭葉蔵に言わせれば、個人が犯す「罪」に社会が「罰」を与えるのはおかしい、ということになる。その主張の是非はともかく、『人間失格』が見せている社会と個人の対立は、はてしなく深い。
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