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読書人紙面掲載 書評
2018年6月14日

80年代の感覚が蘇る 興奮とともに頁をめくる快感を思い出した

The Vintage Eros ヴィンテージ・エロス Vol.1
編 集:マガジンハウス
出版社:マガジンハウス
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「平凡パンチ」の創刊は、東京オリンピックが開催された1964年。その25年後の89年に「NEWパンチザウルス」として新創刊されるまで、「週刊プレイボーイ」と並ぶ男性週刊誌の代表格だった。創刊時の発行部数は62万部で、66年には100万部に達したという(塩澤幸登『平凡パンチの時代』河出書房新社)。

編集長は雑誌づくりの天才と云われた清水達夫。無名だった大橋歩のイラストレーションを表紙に使い、芸能、映画、スポーツ、セックス、車など、若者が求める要素を詰め込んだ。

「創刊号のパンチで話題を呼んだもののひとつに、折込み四色カラーのヌード口絵があった。『週刊誌に毎号ヌード口絵』の発想は、当時の感覚では常識はずれだったと思う。しかし清水は委細かまわず大竹省二、中村正也の二人のカメラマンを、ヌード撮影のためにそれぞれパリとローマに派遣していた」(赤木洋一『平凡パンチ1964』平凡社新書)。創刊号では、大竹が撮影したフランス女性のヌードが折込み口絵になった。

『平凡パンチ80s 永久保存版写真集 The NUDE』『平凡パンチ傑作選 ヴィンテージ・エロス』Vol・1、Vol・2は、数々の女優、タレントが登場した同誌のカラーグラビアから、厳選した写真を集めたものであるらしい。「らしい」というのは、編集の意図を読み取れる文章がどこにも入っていないからだ。ついでに云えば、『The NUDE』と『ヴィンテージ・エロス』がどう違うのかもよく判らない。後者が「最新デジタル理マスター版」である点だろうか。
「私はどちらかといえば「プレイボーイ」派だったので、正直なところ、「平凡パンチ」の印象は薄い。80年代には、田舎の中高生が手に取りたいような雑誌ではなかったような気がする。だから、同時代的な感慨はあまりない。しかし、この三冊を眺めていると、不思議とその頃の感覚が蘇ってくる。

三冊に登場している女性は、女優、アイドル、ピンク・AV女優らのべ29名(『ヴィンテージ・エロス』Vol・2の「早田雄二 特選水着誌上写真展」を含む)。いまでも表舞台で活躍している人は少なく、烏丸せつこ、小林ひとみ、栗田ひろみ、岡田奈々、松本ちえこなど懐かしい名前が並ぶ。水島裕子(青木めぐみ)が三冊ぜんぶに、関根恵子(高橋惠子)が二冊に登場するのは、どういった「ひいき」からか。理由を知りたい。

私は、この中では最も古い67、68年の大原麗子のグラビア(中村正也撮影)にいちばんナマナマしい色気を感じた。最近CSで彼女が石立鉄男と共演したドラマ『気まぐれ天使』を観たこともあり、いまさらながらファンになっている。

石川セリ、大信田礼子を撮影した長濱治の回想によれば、グラビア担当にはのちに「トゥナイト2」の司会を務めた石川次郎や作家となった西木正明がいた。「そういう編集者とカメラマンのある種の共同作業で、できあがるモノが高まっていくということがあったよね」(『平凡パンチの時代』)。

この写真集で、興奮とともにページをめくる快感を思い出した。その意味では、ハードカバーにしなくても、並製でいいからもっとたくさんの写真を入れてほしかった。
この記事の中でご紹介した本
The Vintage Eros ヴィンテージ・エロス Vol.1/マガジンハウス
The Vintage Eros ヴィンテージ・エロス Vol.1
編 集:マガジンハウス
出版社:マガジンハウス
以下のオンライン書店でご購入できます
平凡パンチ '80s 永久保存版写真集 The NUDE/マガジンハウス
平凡パンチ '80s 永久保存版写真集 The NUDE
編 集:マガジンハウス
出版社:マガジンハウス
以下のオンライン書店でご購入できます
2016年1月1日 新聞掲載(第3121号)
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