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誰も見ていないから 第12回
更新日:2016年9月2日 / 新聞掲載日:2016年9月2日(第3155号)

誰もみていないから ⑫

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誰もみていないから ⑫
〈Tokyo〉(油彩、キャンバス/22.7×15.8cm/2014年) ⒸShinjiIhara

「私との再会」

毎週録画をして観ているテレビ番組の中で、カナダ人の女性が空港で取材を受けていた。彼女は6歳の頃から日本に憧れて初めて旅行に来たと、かなり興奮した様子であった。日本に憧れていた理由を番組スタッフから尋ねられると、小学1年生の時に描いた一枚の絵がきっかけだと言う。学校の行事で描いた自分の絵がぺんてるの世界児童画展で金賞をとった。その時から、日本のことを調べていつか行きたいと思っていたのだ。

17年の時を経て、金賞をとった絵の行方は分からなくなっていたが、番組スタッフの捜索によって、ぺんてるが作品を保管していると分かり、彼女はその絵に再会することとなる。物心がつく前から絵を描くことが好きだった彼女にとって、この時の受賞が勇気と自信を与えてくれたと涙ながらに話していた。

そういえば自分も、何かのコンクールで受賞した絵が小学校の給食室の壁に飾られたり、地元の海を描いた絵が中学校の玄関の壁に飾られたりしたことを思い出した。おそらく、もう飾られてはいないだろうが、彼女のようにもし再会できたら、昔の私と話がしてみたいと思った。

今度、帰省したら会いに行ってみよう。
(いはら・しんじ氏=画家)
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