ジャン=リュック・ゴダール会見全文載録 「E・サイードに導かれて」 (at第71回カンヌ国際映画祭) |書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年7月6日 / 新聞掲載日:2018年7月6日(第3246号)

ジャン=リュック・ゴダール会見全文載録
「E・サイードに導かれて」
(at第71回カンヌ国際映画祭)

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第5回
ヌーヴェル・ヴァーグ

『Le Livre d'image』:WILD BUNCH
――英語で申し訳ありません。イタリアのエリックです。このようにお話できて光栄です。私にとって、あなたは今日の映画作家とは比類できない、最も勇敢な映画監督です。『イメージの本』における最後のシーンと映画史全体との間に、関わりはあるのでしょうか。
JLG 
 もちろん関わりはあります。しかし、映画史全体と関わりがあるのではなく、作品を見ればわかるように、いくつかの部分と関わりがあるだけです。引用されたマックス・オフュルス、ドヴジェンコのような偉大な名前は、ヌーヴェル・ヴァーグの一部でした。私たちは、50年代の初めに映画の学校に行くことはなく、シネマテークに通いました。シネマテークで上映されていた映画は、私たちにとって、今日の映画だったのです。そのような作家たちは頻繁にインタビューをされてもいました。私たちにとっては、たとえ100年前に作られた作品でも、例えば、リュミエールのカメラマンたちが撮影した10分間の映像を――当時のフィルムの長さは10分ほどでした――、今日の方法で見るようにして、かつての映画ではなく今日の映画として考えていたのです。加えていうならば、このかつての映画を、Facebookやテレビにおいて、いかにして見ることができるのでしょうか。映画とは関係がありませんし、私の意見では大したものではありません。

そのことが理由で、私はテレビを無音の状態で見るのです。もし音がわずかながらあったとしても、それは映像に張り付くコメントでしかありません。何も言うことはないのです。驚くべきことです。私たちは本当に驚くべき時代に生きているのです。そのことに注意しなければいけません。他のやり方もあるはずです。

――こんにちは、ゴダールさん。『ニューヨーク・マガジン』のカイル・ブチャナンです。『イメージの本』の中に、マイケル・ベイ監督の『13時間』が使われているようでした。この作品に対してどのような感情を抱いているのですか。マイケル・ベイの映画は、おおむねご存知なのでしょうか。
JLG 
 あなたがあげた作品のことを覚えていません。なので、その私が引用したと言う抜粋部分はどのようなものだったかを教えてください。そうしたら思い出すかもしれません。でも現状では、監督の名前も作品名も心当たりがありません。もし、私がその作品から引用したというのならば、その中に他では見られない何かを見たからです。

――ベンガジで撮られた映像です。戦闘中の軍隊を写したものです。
JLG 
 その作品からの引用ではないと思います。それについては、話し合わなければいけません。そのために、デジタルテクノロジーを活用しましょう。その映像をいますぐ・・・・スマートフォンを使って見せてください。出来ないのですか。デジタルの映像なので、出来ないことはないでしょう。私は、あなたの話している作品を引用したとは思いません。しかし、私が間違っているかもしれません。なので、そのことを明らかにしましょう。デジタルで見せられないと言っても、いたるところでワンクリックで十分だと言っているではないですか。なので、たったのワンクリックをしてください。できないのであれば、カチンコの音を鳴らしましょう。
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ジャン=リュック・ゴダール()映画監督
フランスの映画監督。一九三一年、パリ生まれ。ソルボンヌ大学で人類学を学んだあと、一九五〇年、ジャック・リヴェット、エリック・ロメールと「ラ・ガゼット・デュ・シネマ」発刊。一九五二年「カイユ・デュ・シネマ」に映画評を寄稿。一九五四年、初作品「コンクリート作戦」を監督。一九五九年、初長編「勝手にしやがれ」を発表し、ヌーベルヴァーグの旗手として注目される。一九六八年の<五月革命>以後に「ジガ・ベルトフ集団」を結成。「東風」「イタリアにおける闘争」等、政治色の強い映画を製作。七〇年・八〇年代は、実験的で革命的な作品製作に没頭。一九八三年、「カルメンという名の女」でヴェネチア映画祭グランプリ。その他の作品に「軽蔑」「アルファヴィル」「気狂いピエロ」「男性・女性」「彼女について知っている二三の事柄」「中国女」「こことよそ」「勝手に逃げろ/人生」「パッション」「ゴダールのリア王」「ヌーヴェルヴァーグ」「ゴダールの決別」「女と男のいる舗道」「新ドイツ零年」「フォーエヴァー・モーツァルト」「映画史」「愛の世紀」「さらば、愛の言葉よ」など。日本には一九六六年に初来日。近年では、二〇〇二年に、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した際に来日した。日本の映画監督にも、黒沢清・青山真治ら、その作品から強い影響を受けたものが多数いる。
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