【横尾 忠則】言葉は言葉を越えないけど、絵は言葉を越える|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2018年7月10日 / 新聞掲載日:2018年7月6日(第3246号)

言葉は言葉を越えないけど、絵は言葉を越える

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2018.6.25
 〈若い頃の皇太子殿下と雅子さんが軽井沢とおぼしきログハウスに来られて、「写真を撮らせて下さい」という観光客?の要望に応えておられる〉そんな夢を見る。

32度は真夏の猛暑日和だけれど老齢のせいか暑く感じない、どころか鼻水ばかりがでる。

脚立に乗って描くのは危険なので、絵の中に脚立を描いて封印してしまう。

2018.6.26
 〈中南米のどこかの国での個展が終って、さあ帰国、その前に街を散策と通りに出たところで子供が麦藁帽を売っているので買ってあげようとポケットの中の日本円3万円を渡す。「それは多過ぎますよ」と連れの者がいうので、2万円を取り戻すと子供が大声を上げて泣き叫ぶので逃げた。どこまでも追ってくるのでくねくねした道を逃げ隠れしているうちに道に迷ってしまって、とんでもない場所に出てしまった。元の場所からかなりかけ離れた古いビル街で途方に暮れてしまった。言葉の通じそうな人はひとりもいない。飛行機の出発時間も過ぎ、このままではこの見知らぬ街にとり残されてしまう。その時東洋人らしい人に出会ったので、「日本の方ですか?」と聞くと、「そーです」という返事に一安心。たまたま日本に住んでいた時にぼくの絵を見たことがあると言ってくれたのはいいが、さて、このあとどうすればいいやら、考えがまとまらないまま徐々に目が覚めてきた>。こーいうパニック夢は、もっと早い時期に、覚醒させてくれないと心身によくない。

自慢じゃないけれど昨日と今日の2日間でカルティエへ送る絵を7点仕上げる。そんな情景をカメラで押さえたいと、テレビ朝日の「白の美術館」が撮影。描きながらしゃべるのは苦痛どころか、かえってうまく気が散ってくれて絵のためには決して悪いことではない。マネはアトリエに客を呼んでワイワイガヤガヤの中で絵を描いたというが、かえって集中できるものだ。要するに脳内から言葉、考えを追放できるからだ。言葉は言葉を越えることができないけれど、絵は言葉を越えることができる。最近、小説家がさかんに肉体、肉体というけれど、観念上の問題で絵画の肉体とは別個の肉体感覚(五感への関心)のことを指しているに違いない。三島さんの肉体感覚もこの五感止まりで絵画の有する肉体性には一目置いていた。だからか『ドラクロアの日記』が座右の書だったという。小説が絵画の肉体に対抗することなど必要ないと思う。

「一日早かった」と野上照代さんが明日の誕生日にプレゼントを送ってくれた、彼女は91歳。
神戸屋にて誕生日会

2018.6.27
 色んな人からプレゼントやメッセージを頂くのは嬉しいけれど誕生日は人騒がせで、「生まれてきてゴメンナサイ」だね。

一昨年の作品がニューヨークから返却されて、今日また46点送る。

夕方、神戸屋で事務所のスタッフと家族の合同誕生会でまたまたプレゼントを。お店からもプレゼント。妻はパジャマのプレゼントを。最近パジャマはデパートにもないそーだ。パジャマを着るのは老人ぐらい?

神戸の美術館のスタッフから花が届く。彫刻の森美術館の与田さんからのプレゼントは黒猫一匹。おでんは光るボーイフレンドに????顔。
アトリエにて石川次郎さんと(撮影・渡部孝弘)

2018.6.28
 〈長ったらしい〉夢。夢とわかりながら、しかも見終ったあと記述を確認しながら、理性的に夢を吟味するなんてワケのわからぬ夢。おもしろくもおかしくもない時間ロスの夢。

石川次郎君をホストに迎えるウェブ配信番組(その話には続きがある)に出演。次郎君も77歳、話題は老年の生き方ですかね。プロデューサーの森脇さんとも久し振り。出不精のぼくを海外旅行に引っぱり出したいご様子。

2018.6.29
 〈言葉にできない絵画のような夢〉を見る。

朝日新聞を退職された大上さん、久し振りに来訪。ポルトガル旅行などして、やはりユーユー自適な日々は羨ましい。

GLAYのTERUさんから誕生プレゼントのベレー帽を贈られる。日曜画家ぐらいしかベレーを被らないけれど、ぼくも毎日が日曜画家なのでベレーを愛用しましょう。

この間出たばかりの対談集『創造&老年』が台湾の大手出版社から出ることになる。自伝に続いて2冊目。

2018.6.30
 土、日、祝日は早くアトリエに入る習慣をつけている。休日だけにたっぷり仕事ができたり、散歩したり、街を散策しながら喫茶店で読書など。

夕方、またまた磯﨑憲一郎さんにバッタリ。ガルシア=マルケスの小説で、磁石を持って歩いている男がいたが、2人は何かの磁力に引っぱられているのかな。まあそんな大袈裟な話じゃないけれど。

2018.7.1
 アッという間の半年。未来は過去をフィクションにすることで、時間をコントロールできる。

事務所の猫にエサをあげて、マッサージへ。

ベッドの中で大岡昇平の『野火』を読む。三差路(Y字路)が満載。
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