ドキュメント 緊迫する〈東大紛争〉 渦中から再び問題点を探る|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人アーカイブス
更新日:2018年7月19日

ドキュメント
緊迫する〈東大紛争〉
渦中から再び問題点を探る

このエントリーをはてなブックマークに追加
第2回
”不法監禁”への攻撃 学生の納得を得られるか
2 林文学部長の軟禁問題

東大闘争は後半、医学部から本郷キャンパスの三四郎池の北側へ移った。その一つの焦点は、文学部で林健太郎医学部長の170時間にも及ぶ軟禁と団交だった。”釈放”後の手記で林教授は「4日夜になって漸く同僚が集まっている場所がわかり、そこへかけつけてみたところ、前野、井上両教授らが学生に吊し上げにあっており、我々が出席しなければ放たれないという状況にあることがわかった。これを放置しておくわけにはゆかない。そこで、岩崎、堀米両評議員と共に会場に入ったのが9時半である。私はこの時、今晩は徹夜の話し合いになるだろうと思い、自宅にそういう旨の電話をいれたおいた」(朝日新聞11月14日)と書いている。このように林教授らは、みずから進んで学生の中へと飛び込み、そのまま捕えられてしまったのが事実であった。
この文学部の「無期限大衆団交」では、学生側は仲野処分問題の白紙撤回と、確約一方的破棄を根強く追及した。この確約は「文学部教授会は新執行部を送出する前に文学部学生と大衆団交に応ずるよう努力する、次回の教授会に対して学生が傍聴できるよう日時を連絡する」というものだったが、文学部教授会は確約を署名でとり交わした翌日の11月13日(日)に破棄を決定した。(『東大新聞』11月11日)
この無期限大衆団交が学内で緊張をたかめているなかで、加藤一郎総長代行は、「このような人権の重大な侵害は絶対に容認しえないものである」(11月8日『全学の学生諸君に訴える』)という呼びかけをおこなった。また、この”軟禁”に抗議する約300名の教員による「林教官を即刻解放せよ」というシュプレヒコールなされ、丸山眞男、福田歓一、団藤重光教授ら50名の教授の『学生諸君に訴える』(11月8日)が発表された。この訴えは「ことは生命の危険の問題に局限されるものではなく、たとえいかなる待遇がなされていようとも、そもそも人を監禁状態において会見を強要すること自体が許すべかざる暴挙であります。・・・・・・かような行為を大学において敢えてするということは、文字通り大学を日本国憲法の及ばない無法地帯とする暴挙であり、私共は大学人として断じてこれを黙視することはできません。私共は、このようなことを行っている学生諸君に対して強く抗議し、一刻も早く監禁を解くことを要求します」と書いた。
この軟禁を講義に赴いた文学部の一教授が「警官導入もありうる」と不用意に漏らしたことから、共闘会議の学生が、竜岡門、赤門、正門を守衛の手から管理権を奪って閉鎖するなどの事態も生み、全学バリケードを呼号する動きに結果として拍車をかけてしまった。なお共闘会議は、全学集会開催を条件に11月11日、林教授を釈放した。仲野処分は活動家学生にたいるす政治的処分である、林学部長選出は学生への違約である、という学生の批判にたいしては、加藤代行も、文学部教授会も、有志教官声明も答えていない。「不法監禁」を攻撃するだけで、学生の納得を得られるかどうか、がなお問われ続けている。
1 3 4
このエントリーをはてなブックマークに追加
読書人アーカイブスのその他の記事
読書人アーカイブスをもっと見る >
文化・サブカル > 文化論関連記事
文化論の関連記事をもっと見る >