海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲  土屋 健著/田中源吾・冨田武照・小西卓哉・田中嘉寛監修|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

出版メモ
更新日:2018年7月31日 / 新聞掲載日:2018年7月27日(第3249号)

海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲  土屋 健著/田中源吾・冨田武照・小西卓哉・田中嘉寛監修

このエントリーをはてなブックマークに追加
〈生命の歴史〉というと、恐竜をメインに据えた陸上世界の歴史を思い浮かべがちだが、そもそも「地球の生命は、海で生まれ、海で進化し、海で命を紡いで来」た(8頁)。地球の誕生はおよそ46億年前、そこから約6億5000万年後には、海に生物がいたという。以後30億年以上かけて徐々に進化してきた。顕微鏡でしか確認できないほどの生きものが、ヒトの肉眼で認識できる生命に進化し、それが小型動物(ほとんどがヒトの手のひらサイズの10センチメートル以下)から1メートルほどの節足動物へと、膨大な時間を経て姿形・性質を変えていった。

本書は、「そんな海の生命史について、とくに“時代の覇者”に注目した一冊」(12頁)。5億7500年前(先カンブリア時代)に、その姿を突如として現した「ランゲオモルフ」にはじまり、カンブリア紀→オルドビス紀→シルル紀→デボン紀→石炭紀→ペルム紀→石炭紀→三畳紀と時代は進み、ようやくよく知られる「ジュラ紀」「白亜紀」にたどり着く。

元々、地球上の海の中は、〈比較的平和〉な世界だったという(23頁)。それが〈戦いの海〉に激変したのは、「眼」の誕生が原因だとする仮説がある(“光スイッチ説”29頁)。攻撃するにも防御するにも、「眼」があることにより事態は一変する(カンブリア紀)。この辺りの指摘は実に興味深い。

時代は一気に飛び、デボン紀(約4億1900万年前~3億5900万年前)には、「最古のサメ」といわれる「クラドセラケ」が現れる(79頁)。全長は大きいもので2メートルに達した。その後、白亜紀の半ば(約1億年前)には、「最強にして最恐」と呼ばれる「クレトキシリナ」が、海の“絶対的な王者”となる。これは現在のホオジロザメと姿が似ている(113頁)。こうして見ていくと、サメの歴史は、ヒト(人間)の歴史よりはるかに長く、途方もない時間、地球上に君臨してきたことがわかる。

生命が大量絶滅した二つの出来事「P/T境界大量絶滅事件」と「K/Pg境界大量絶滅事件」(95頁・141頁)に関する叙述も、短いながら読み応えがある。前者では全海洋生物の81パーセント、後者では66~68パーセントが姿を消したという。

100点以上に及ぶカラーイラストを眺めているだけでも、その時代への想像力が喚起される。かくも壮大な歴史を描いた一冊。
この記事の中でご紹介した本
海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲/文藝春秋
海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲
著 者:土屋 健
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
「海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
出版メモのその他の記事
出版メモをもっと見る >
自然科学 > 海洋生物関連記事
海洋生物の関連記事をもっと見る >