参加者:荒巻義雄(作家)、増田まもる(翻訳家)、巽孝之(慶應義塾大学教授、SF評論家)  司会・本文構成:岡和田晃 山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(2) 第56回日本SF大会(ドンブラコンLL) 於:静岡コンベンションアーツセンター・グランシップ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年7月31日

参加者:荒巻義雄(作家)、増田まもる(翻訳家)、巽孝之(慶應義塾大学教授、SF評論家)  司会・本文構成:岡和田晃
山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(2)
第56回日本SF大会(ドンブラコンLL) 於:静岡コンベンションアーツセンター・グランシップ

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第2回
●8:英語圏に紹介された山野浩一

岡和田 
先ほど川上弘美さんの名前が出ましたが、最初に書いたのは、「NW-SF」Vol.15(1980年2月)に「累累」という作品を寄せてデビューしていますね(小川項名義)。私は川上弘美の最高傑作だと思うのですが……。ワークショップで、増田さんはデーナさんとお会いになっていたのですか?
増田 
ええ。覚えています。きっかり40年前。
巽 
それは3回目の来日くらいですか。75~76年ですか。
増田 
だいたい、そのくらいですね。
巽 
なんか、デーナさんの前のメールによると、しょっちゅう山野さんのアパートへ泊まっていたとか。
増田 
我々も当然、泊まっていましたから。
巽 
「ファウンデーション・レビュー・オブ・サイエンス・フィクション(Foundation The Review of Science Ficition)」1984年3月号に山野さんの論考が載っているんですね。「イギリス文学とイギリスSF(English Literature and British Science Fiction)」。海外SFに親しんでいると、あまりピンと来ないかもしれませんが、日本SFにとっては、まだロクな翻訳が流通していなかった時期ですね。
最初の日本SF英訳アンソロジーが出るのが89年ですから、84年には日本SFのことも、海外ではよく理解さていない。そういうときに、山野さんのイギリス文学・イギリスSF論が出て、デイヴィッド・ルイス名義での訳が載っているわけですね。
増田 
頼まれたんですね。
巽 
頼まれたのか、はたまた山野さんを尊敬するあまり、英語圏に何か出したいと持ち込んだか(岡和田注:デーナさんに確認をとったところ、「山野先生ご自身に直接頼まれまして、よろこんで英訳いたしました。英訳を先生に送り、先生から英国に送られているはずです。先生は英国に送る前に訂正したりしたかわかりません」とのことでした)。「鳥~」は76~77年に訳していたのに、なかなか日の目を見なかった。それは10年前のワールドコンまで。SF小説も掲載されていたアメリカの科学雑誌「Omni(オムニ)」はデーナが訳した筒井の「佇むひと」を買ったので。あと半村良の小説も訳していたみたいですね(岡和田注:デーナさんに確認をとったところ、これは「ボール箱」で、「Moana Pacific
Quarterlyに載り、後にDembnerのJapanese Science Fiction Storiesのアンソロジーに掲載され、『Speculative Japan』に収録されました」)。半村良のことは、山野さん、すごく評価していますね。
増田 
「NW-SF」に寄稿してくれましたし(「書評」、「NW-SF」Vol.10)。
巽 
この84年というのは象徴的で、日本SFの現物を英語圏の人が知るよりも先に、日本のSF作家がイギリスの文学・SFをどう思っているのか、というのが先に出た。
増田 
それは山野さんにとっても本望でしょう。
巽 
しかも「ファウンデーション」に載ってね。私が「日本SFの原点と指向」を、カズコ・ベアレンズとダルコ・スーヴィンと一緒に訳した際にも、先にこれが出ていたからというのが大きい。アメリカSF批判をしている日本のSF作家だというので、山野さんにダルコは親近感を覚えたみたいですね。ダルコ・スーヴィンは『SFの変容 ある文学ジャンルの史学と歴史』(国文社、1991年)で著名ですが、本当に、山野さんのことが好きでしたね。
増田 
わかります。山野さんは、会ってみればわかりますけど、公明正大で私心のない人でしたから、みんな好きになりますね。
巽 
それは野阿梓(作家)も言っていましたね。だから、そういう意味でも、84年の段階で海外に知られたというのはすごい。
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