参加者:荒巻義雄(作家)、増田まもる(翻訳家)、巽孝之(慶應義塾大学教授、SF評論家)  司会・本文構成:岡和田晃 山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(2) 第56回日本SF大会(ドンブラコンLL) 於:静岡コンベンションアーツセンター・グランシップ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

WEB限定
更新日:2018年7月31日

参加者:荒巻義雄(作家)、増田まもる(翻訳家)、巽孝之(慶應義塾大学教授、SF評論家)  司会・本文構成:岡和田晃
山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(2)
第56回日本SF大会(ドンブラコンLL) 於:静岡コンベンションアーツセンター・グランシップ

このエントリーをはてなブックマークに追加
第6回
●12:もっと小説を書いてほしかった

岡和田 
最後、荒巻さんコメントありますか?
荒巻 
いやあ、いろいろな意味で鍛えられたよな、お互いにね。皆さん、(パネルの会場の)静岡にX電車は止まったと思いますか? X電車は静岡に止まっているよね(笑)。
「X電車で行こう」実は好きな小説で、機会があれば本格的に長い分析をしてみたいなあと(岡和田注:その後、「SFファンジン」復刊8号、2018年に掲載)。「鳥~」は、これもですね、フォンタナが出てくる場面があって、絵を知っているんだなと。演劇以外にもいろいろな興味があったんだなと、今日は私の知らない山野さんの顔がありました。
巽 
『J・G・バラード短編全集3』の解説「内宇宙の造園師」は、荒巻義雄さんの「術の小説論」(1970年、『日本SF論争史』所収)に、山野さんが応答したものと読むことができます。ちゃんと最晩年でも荒巻さんとの間にコール・アンド・レスポンスがある。
岡和田 
山野さんは「ミステリーズ」2009年(東京創元社)に寄せたバラードへの追悼文「内宇宙のブラックホールへ」で「悲しまなくていい」と言っていますから、我々も悲しむよりは再評価を進めたいなと。誤解されることも多かったのですが、それは活動領域の広さをも意味しますから。X電車の頃は「旅行マニアは一人旅がお好き?」(「旅」1966年3月号、日本交通公社)という。「X電車」の元ネタの一つらしい論文も見つけましたし。
荒巻 
山野さんには、もっと小説書いてほしかったですね、途中でやめちゃったね……。雑文を任されすぎたのかなと。東京にいたからでしょうね。僕なんて地方の孤立したところにいたから、ほかに方法がなくて小説を書いていた。
岡和田 
そうですね。唯一の長篇『花と機械とゲシタルト』(1981年、NW-SF社)は、ほとんど書評が出なくて。むしろ、「朝日ジャーナル」で言及されたくらいです。
荒巻 
批評というのはたくさん小説を読まないといけないですからね。小説を書くより大変な面もあったんじゃないかな。
岡和田 
荒巻さんは作家志向ですが、山野さんは批評家志向の側面があったのではないかと思いますね。そのせいでSF小説の執筆量が落ちたみたいですが。
荒巻 
地方にいると雑誌の仕事なんて来なくて、書き下ろしをするしかないしね。便利に使われすぎたんだろうね。なんでも出来たからかな。読み直してみると、彼は小説うまいなと。途中でやめちゃったのは惜しかったなと。
岡和田 
後期になればなるほど、作品の密度が上がっていきますからね。
……話は尽きませんが、そろそろ時間です。私がしゃべりすぎた感もありますが、細かく調べているゆえなので、どうぞご容赦ください。いずれにせよ、山野浩一さんの再評価が必要という点については、この場の皆さんの衆目が一致するところと思います(会場拍手)。
1 2 3 4 5
この記事の中でご紹介した本
このエントリーをはてなブックマークに追加
岡和田 晃 氏の関連記事
WEB限定のその他の記事
WEB限定をもっと見る >
文学 > 日本文学 > SF関連記事
SFの関連記事をもっと見る >