Letter to my son(2)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

”Letter to my son"
更新日:2018年8月7日 / 新聞掲載日:2018年8月3日(第3250号)

Letter to my son(2)

このエントリーをはてなブックマークに追加
©Eiki Mori Courtesy KENNAKAHASHI
いつものキッチンテーブル。ふたつのマグカップからの湯気、金色の灰皿、Banana YoshimotoのAmrita、いくつものアーチを描くチューリップの揺れる影、少し乱暴に折りたたまれた紙片。詩人は煙草を灰皿に立てかけてから、ゆっくりそれを開いた。

「双子塔」/你有似你般/可愛的原則/不肯在鏡頭面前/舉起勝利的手勢/閒下來的/双/指之間/悠悠散發/雲呢的香味/我對此還是新手/而你/又把香煙遞來/立/在桌子一邊/不要把它吹翻/你與我/在晏起早上看見的/新宿公園塔/或賞櫻過後的/代代木大廈/統統不在/那天/煙滅於夕陽下的/双/子塔/我們/看見了嗎/?/

小さなマス目が印刷されているA4サイズの紙。その端から端まで絡まることなく軽やかに泳ぎ踊っている、走り書きの青い文字。「これ、あなたの詩? でもあなたの書いた文字じゃなさそう」。「そう、彼に書きとってもらったんだ、中国語で」。詩人はそう言って肩をすぼめ、少しはにかむ。「こんな恋に浮かれた詩を書いたのは初めてかもしれない」と呟きながら、中国語の詩の一節一節を指差しながら、丁寧に説明してくれた。

「二wo Towers」/君らしい/かわいいルール/写真の中で/ピースしないって/その代わり/その指/二/はさむ/バニラ・フレイヴァー/最近始めた/僕へも/一本立てる/机の端/二/吹き飛ばさないで/ふたり/遅く起きた朝に見た/パークハイアットでも/花見の後の/ドコモタワーでもない/あの/日/夕陽に燃える/ツ/ィンタワー/僕ら/は見たの/?/

自分の部屋に戻り、忘れないうちにその詩を日本語にして書きとってみた。英語から中国語、そして日本語を経たその詩は、分解と組み立てを繰り返されたオルガンのように、少し音程がずれてるけれど、なんともかわいい音色を奏で始めた。その楽譜をピンナップしてからベッドへ飛び込んだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加
森 栄喜 氏の関連記事
”Letter to my son"のその他の記事
”Letter to my son"をもっと見る >
人生・生活 > エッセイ関連記事
エッセイの関連記事をもっと見る >