第15回 小林秀雄賞 新潮ドキュメント賞 贈呈式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

受賞
更新日:2016年10月21日 / 新聞掲載日:2016年10月21日(第3161号)

第15回 小林秀雄賞 新潮ドキュメント賞 贈呈式開催

このエントリーをはてなブックマークに追加
石井妙子氏、森田真生氏
10月7日、東京虎ノ門のホテルオークラにて第15回小林秀雄賞と新潮ドキュメント賞の贈呈式が開催された。受賞作は小林秀雄賞が森田真生氏の『数学する身体』(新潮社)、新潮ドキュメント賞が石井妙子氏の『原節子の真実』(新潮社)。


森田氏は挨拶で「『数学する身体』には岡潔という数学者が主役の一人として登場するが、彼は小林秀雄と非常に深い縁で結ばれているところがあったような気がする。昭和40年に『人間の建設』という二人の対談集が刊行されたが、そこで岡潔が最近の数学は抽象的になってきたと言っていることに対し、小林秀雄がその言葉が分からないと質問してしばらくの対話ののち、小林秀雄が、なるほど感情の裏打ちがある数学が具体的で、感情の土台のない数学を抽象的だとおっしゃっているのですねと言って、その通りですと手を取り合う場面がある。
岡潔には数学とは永遠不動の確固たるものではなく、感情や感覚という人間の価値の根本にあるもののその表面においていくらでも自由に想像できるものだという思想があったのではないか。
数学する身体(森田 真生)新潮社
数学する身体
森田 真生
新潮社
  • オンライン書店で買う
小林秀雄もパスカルの『パンセ』についての一文で、感じたところから出発して推論するのはいいが、推論したところから始めて感じられるように工夫してみたまえと書いている。
『数学する身体』では、数学は推論の学問だがその推論の根底にあるのは人間の身体であり身体的行為であることを描こうとした。
現代は推論が肥大化した時代だが、これからは推論した帰結をいかに受け止め感じられるようにしていくかという工夫に新しい可能性があるのではないかと思う。岡潔が「情緒」と表現したように、感覚で受け止めることに何かしらの普遍性があるのではないか。
そういう問題をこれからも考えていきたい。また独立研究者と名乗る自分のような生き方をする人が十人いたら一人ぐらいは何かを成すのではないかという生き方をしたい。」と話した。



原節子の真実(石井 妙子)新潮社
原節子の真実
石井 妙子
新潮社
  • オンライン書店で買う
石井は「この本は今年の三月下旬に出版されたが、三月の上旬まで赤鉛筆を握りしめて原稿を直していた。それからわずか半年でこのような場にいることがいまだに信じられない。正月明けの一月半ばにゲラの束を抱えて一週間の予定でカンヅメになったのだが、結局一ヶ月半ぐらいもかけてひたすら赤字を入れていた。それぐらい必死になって書いたものが無事刊行できて、これまで書かれてこなかった新しい原節子像を私なりに打ち立てることができて、そしてこんな素晴らしい賞をいただいて感無量だ」と喜びを語った。





この記事の中でご紹介した本
数学する身体/新潮社
数学する身体
著 者:森田 真生
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
原節子の真実/新潮社
原節子の真実
著 者:石井 妙子
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
受賞のその他の記事
受賞をもっと見る >