侠飯(1) 書評|福澤 徹三(講談社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年8月5日 / 新聞掲載日:2018年8月3日(第3250号)

自縄自縛の常規を逸した設定

侠飯(1)
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
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拙著「侠飯」の第一巻は文庫書きおろしで、二◯一四年十二月に刊行された。

ヤクザの組長とその舎弟が大学生の部屋に居候し、ひたすら料理を作るという設定は、われながら常規を逸していて、まさか続編を書くとは思いもしなかった。

既読のかたはご存知だろうが、一巻目はラストにどんでん返しがあり、ネタバレになると興趣を削がれるので、本来はシリーズ化できる内容ではない。

ところが、たまたま一巻目の売れ行きがよかったせいで続編を書くよう依頼があり、無理を承知で書きあげた。二巻目のレビューでも「まさか続編がでるとは」という声が多かった。

これで終わりかと思いきや、テレビ東京でドラマ化されることになり、大急ぎで三巻目を書いた。その後はなぜか年中行事のようになって、昨年の夏に四巻目、今年の夏に五巻目が刊行された。

ヤングマガジンではコミック化され、こちらも今月、六巻目がでる。ロングセラーというにはおこがましいが、それなりに巻を重ねているのはありがたい限りである。

グルメを題材にした映画やテレビドラマ、小説やマンガでは主人公が料理を作ったり食べたりするのが一般的である。人気のテレビドラマでは、主人公があちこちの店を食べ歩き、台詞はモノローグが中心だ。それにくらべて「侠飯」シリーズは設定に縛りが多い。

主人公は全員男性で、一巻から順に大学生、サラリーマン、元闇金業者、政治家秘書、フリーターと年齢や職業は異なるものの、みな現状に不満や不安を抱えている。

ほかの登場人物も男ばかりで、基本的に女はヒロイン役しかいない。そこへ柳刃組組長、柳刃竜一と舎弟の火野丈治が忽然とあらわれる。柳刃は料理を作り、火野はそれをサポートしつつ、主人公や登場人物との関係を深めていく。その一方で、毎回さまざまな悪役が登場する。

主人公は柳刃たちを警戒したり反発したりするが、料理を通じて心を通わせ、みずからの悩みを解決する糸口を見いだす。柳刃と火野はそれと並行して、悪役を追いつめる。

さらにプロローグとエピローグをのぞく各章で、柳刃の料理を紹介する。料理はすべて読者が実際に作れるよう、レシピを織りこんでいる。こうして列挙するだけでもややこしい設定だが、まだ縛りはある。

終盤では悪党との対決と、柳刃と火野が正体を明かして去っていく、お涙頂戴のシーンがある。エピローグは登場人物たちの大団円で、前巻の主人公がどこかに登場するのもお約束だ。

ストーリーは「水戸黄門」ばりの予定調和なのに、これだけ縛りを盛りこむのは毎回のように難渋する。すなわち自縄自縛である。
この記事の中でご紹介した本
侠飯(1)/講談社
侠飯(1)
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
侠飯(2) ホット&スパイシー篇/講談社
侠飯(2) ホット&スパイシー篇
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
侠飯(3) 怒濤の賄い篇/講談社
侠飯(3) 怒濤の賄い篇
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
侠飯(4) 魅惑の立ち呑み篇/講談社
侠飯(4) 魅惑の立ち呑み篇
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
侠飯(5) 嵐のペンション篇/講談社
侠飯(5) 嵐のペンション篇
著 者:福澤 徹三
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
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