和合亮一氏インタビュー 『和合亮一詩集』『続・和合亮一詩集』同時刊行を機に|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年8月17日 / 新聞掲載日:2018年8月17日(第3252号)

和合亮一氏インタビュー 『和合亮一詩集』『続・和合亮一詩集』同時刊行を機に

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和合亮一詩集(和合 亮一)思潮社
和合亮一詩集
和合 亮一
思潮社
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東日本大震災の直後から、ツイッター上で「詩の礫」と名付けられた言葉を発信し続け、国内外からの注目を集めた詩人和合亮一氏のこれまでの詩作品をまとめた、『和合亮一詩集』と『続・和合亮一詩集』の二冊が、思潮社から8月20日に同時に刊行される。「詩の礫」以前と以後で分けられたこの二冊によって、「詩の礫」だけでは見えにくかった詩人の全体像が浮かび上がることとなった。この刊行を機に、秋には新詩集の刊行も控える和合氏に話を伺った。 (編集部)



第1回
震災前/震災後

和合 亮一氏
『和合亮一詩集』(以下『正』)の方は、30代の終わり頃に作ろうという話も出ていたのですが、忙しさもあって取り掛かれないまま伸びてしまっていました。その間に震災も経験して、その震災からも7年が経っている。今年は詩を書き始めて30年目になるんですが、こういう状況の時に、二冊を出せるというのは、今振り返ってみて一番良かったんじゃないかと思います。今、東北や福島の方は震災後静かになりつつあリます。

今年は「現代詩手帖」の4月号に特集を組んでいただき、そしてこの二冊を出していただい上に、新詩集も9月の末ぐらいを目安に出す予定でいるのですが、それは静かになりつつあるこのタイミングだから出せるということなのかなとも思うんです。

今回の『正』と『続・和合亮一詩集』(以下『続』)の二冊には、最初の詩集『AFTER』から現在までの20年がアンソロジーのかたちで収められているのですが、おそらくこの歳月そのものが、現代詩を書くということとすごく深いところで繋がっているんだと思います。要するに時間をそのまま比喩化するんだということがあらためて見えてきた気がするんです。これは今までにない経験でした。しかも『正』に収録された作品を収めたもともとの詩集『AFTER』や『誕生』はほとんど手に入らなくなってしまっていますから、若い世代の読者にはこれで読んでもらいたい。そうして僕が書いてきたことが、新しく響くといいなと思っているんです。どんなふうに受け止めてもらえるのか、特に若い読者のリアクションに興味があります。あるいは自分の震災後の作品を読んできた方が、今回この『正』を読んで、『詩の礫』以降と通ずるものがあると思ってもらえるのだとしたら、どんなふうにそれを感じたのか聞いてみたいなと思います。

もともと『正』の世界は、自分の中で何もない穏やかな平和な福島の風景をシュルレアリスムで描こうというのが出てきたからなんですね。つまり静かな状況をシュルレアリスムで騒然とさせようという。これは実は宮沢賢治の考え方に影響を受けています。賢治が花巻をイーハトーブと呼び、何でもない川べりをイギリス海岸と呼んだように、福島を自分なりに描いてみようと思って書いているんです。震災前も、まあ震災後は特にそうですがテーマは福島で、福島を描くということに関しては一貫しているんです。

ただ、何も福島にこだわっているわけでは実はないんですね。これは新川和江さんが教えてくれた言葉ですが、詩を書くということは自分の足下の水を掘ることだと。足下に本当に表現したいことが眠っているのだから、常にそこにある水を掘るという気持ちで書いてきました。それが自分が暮らす福島の風土、山の風景だったり川の風景だったり、空の風景だったりと、気がついたら自分が住んでいる福島の風景が現代詩のモチーフにだんだんとなっていった。ある意味ゼロに見えてしまうこの自分の町を、言葉でゼロから100に持っていこうと思ったのが自分の現代詩なんです。
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この記事の中でご紹介した本
和合亮一詩集/思潮社
和合亮一詩集
著 者:和合 亮一
出版社:思潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
続・和合亮一詩集/思潮社
続・和合亮一詩集
著 者:和合 亮一
出版社:思潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
「続・和合亮一詩集」出版社のホームページはこちら
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