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更新日:2018年8月28日 / 新聞掲載日:2018年8月24日(第3253号)

又吉直樹氏記者会見 毎日新聞夕刊で連載小説をスタート

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デビュー作『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんが、九月三日より毎日新聞(夕刊)で連載小説をはじめる(連載期間は「半年以上」を予定)。タイトルは『人間』。連載スタートを前に、この八月七日、又吉さんが、東京・一ツ橋の毎日新聞で記者会見を行なった。一問一答は以下の通り。

又吉 直樹氏
*  * ――連載小説をはじめるにあたっての抱負をお聞かせください。
又吉 
 毎日新聞の夕刊で、三作目となる『人間』という小説を書かせていただけることになりました。今まさに書いている途中なので、全貌がまだはっきりとは掴めていないというか、掴もうとしている最中です。漫才もコントもそうですけれど、好きなものを作りたいと思っています。今回も、自分の中で代表作というか重要な作品になるものを書きたいと思っています。持っているものを全部出し切れたらいいなと、今は考えています。

――これまでの二作は文芸誌に一挙掲載でした。新聞小説の場合、一回の字数が少なく、翌日読ませるために、これまでとは違う工夫が必要になってくるのではないでしょうか。また、これまで日本の新聞小説は、大作家が執筆してきたイメージがあります。そうした先人たちの作品の中で、今回執筆にあたって、参考にされたものはありますか。
又吉 
 今まではすべて書き終わってから発表するというスタイルでした。毎回毎回見せ場を作ったりしようと考えて書いていくと、どうしてもリズムが掴みにくくなるのかなと思っています。最初はあまり気にせず書いてみて、発表する段階で、一回分の文字数で区切ったものを自分で読んで、そこで調整できたらいいんじゃないか。今日はある場面なり、ある言葉が入ってくることによって、読者の方に楽しんでいただくことができたらいい。まったく何も起こらずに、次の回に行くというのは、できるだけ避けたいと思っています。ただ、如何せん、新聞小説を書いたことがありませんからね。たとえば千字ぐらいのエッセイは、今まで書いてきました。でも、小説をそういうふうに細かく分けて書くことがどういうことなのか。まだ具体的には掴めていません。ここから考えていきたいと思っています。

正直、僕は、新聞小説を、連載のかたちで読んでいったことはなくて、たとえば漱石の『それから』についても、具体的にどうやって区切って書いていたのかわかりません。でも、そんなに違和感なく普通の長編小説として読めた。だから、新聞小説だっていう意識は、あまり持たない方がいいのかなと思っています。意識したとしても、器用に書ける方でもありませんから。自分の書きたいこと、書きたい風景みたいなものを書いていけたらいいと思います。

――又吉さんの新作は、多くの版元さんが希望していたと思います。なぜ毎日新聞を選ばれたのか。また今回の構想は、元々持っていらしたものなのか、今回の連載にあたって新たに生み出したものなのか、お聞かせください。
又吉 
 いろんな方に声をかけていただくんですけれども、たとえばエッセイや長い小説を書いてみないかと声をかけてくださる方は、『火花』以前にも結構いました。書いてみようという強い意志が持てなくて、ただ、いつか書きますよという雰囲気だけ出して、ちょっとご飯を御馳走になったり、「あいつ、いつ書くねん?」みたいな悪い噂がそろそろ立ちはじめているだろうなという頃に、別にそれが直接の原因ではないんですけれど、初めて小説を書いてみたいと思ったのが、『火花』のタイミングでした。そこからふたつ書きましたが、吉本以外の環境で、僕に文章を依頼してくれた方とか、そういう関係がある中で書くところを選んできています。今回もそういうことでしょうか。あとは、新聞小説って、自分が小説を書く上で一番恐ろしいというか、経験もないですし、まったくわからないという点でも、すごく魅力的やなと思いました。

『人間』に関しては、具体的な構想はありませんでした。でも、なんとなくいつも、漠然とこういう感覚のものを書きたいと思っていました。小説の枠組みとかシステムに関することじゃなくて、今僕が感じているようなものを形にしたいなと。それが何なのか、ずっと探ってきているんですけれども、具体的にこれを書こうというのはなくて、今書きながら、こういうことだったのかなと徐々に見えてきている段階です。

――主人公はどんな感じで、ストーリーはどのようなものになるのでしょうか。
又吉 
 主人公は、僕と同年齢の三八歳で、漫画家を志していた男性です。その三八歳の主人公が誕生日を迎えるところから、今書いています。ストーリーは……まだ細かいことばかりを書いていて、全体の大きな流れまでは見えていません。三八歳の登場人物が、若い頃の体験であったり、そういうものを回想する話でしょうか。自分の夢がまだつづいている途中なのかどうなのか、主人公自身がまさに葛藤しているところだと思います。

――『人間』は、又吉さんが尊敬される太宰治の『人間失格』にヒントを得ているのでしょうか。
又吉 
 確かに『人間失格』は、僕が一番好きな小説ですし、ずっと読んできた小説でもあるので、頭のどこかに残ってはいたんだと思います。人間について語るのってすごく難しいと思うんですけれど、いつか書いてみたいと思える言葉ではありました。

――小説全体の長さは決まっていますか。
又吉 
 大体の分量は決まっています。原稿用紙で三〇〇枚ぐらいを目指しています。今三分の一ぐらいまで書き終わっています。この段階で三分の一っていうのは、やばいですよね(笑)。でも今、いい感じで進んでいます。これまで全体の分量を決めて書いたことがないので、どれぐらいになるかはわからないと、最初にお伝えしています。

――一日の中で、いつ執筆されているのでしょうか。
又吉 
 今のところは、夜書くことが多いですね。日にもよりますが、体力が持つ限り、仕事が八時、九時、十時に終わったら、そこから書きはじめて、朝方とかになっていきます。
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