また、同じ夢を見ていた 書評|住野 よる(双葉社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

【書評キャンパス】大学生がススメる本
更新日:2018年8月25日 / 新聞掲載日:2018年8月24日(第3253号)

住野 よる著 『また、同じ夢を見ていた』
大阪樟蔭女子大学 東地 結貴

また、同じ夢を見ていた
著 者:住野 よる
出版社:双葉社
このエントリーをはてなブックマークに追加
「幸せとは何か」ということを、みなさんは考えたことがあるだろうか。単純な問いではあるものの、それだけに、この問いに即答できる人は、少ないかもしれない。本書は一貫して、「幸せとは何か」ということを訴えている。そして、物語もこのテーマからはじまり、展開していく。

主人公は、〈小柳奈ノ花〉という名の、小学生の少女である。奈ノ花は、まだ幼いのに、自分のことを賢いと思っていて、周りを見下してしまっているような少女である。ピーナッツのチャーリー・ブラウンのように「人生とは虫歯のようなものね」、「人生とはかき氷のようなものね」など、「人生とは○○のようなもの」と言うのが口癖。好きな物語などから得た知識や語彙で、子供とは思えない言い回しや達観した態度を取る。しかしその賢さが災いして周りを思いやることができず、味方も友達もいなかった。そんな奈ノ花は、ある日国語の授業の中で、「幸せとは何か」という問いを投げかけられる。授業の中でそれぞれが考えた答えを、授業参観で発表するとのこと。自分のかしこい姿を両親に見てもらいたかった奈ノ花は、「幸せとは何か」ということを、必死に考えていく。その、どこか大人ぶっていながらも子どもっぽい彼女の姿に、私も「幸せとは何か」というものを考えさせられたのだ。

学校には友達のいない奈ノ花にも、学校の外で出会った不思議な縁でつながる四人の友達がいる。手首に傷がある〈南さん〉、とても格好いい〈アバズレさん〉、一人暮らしの〈おばあちゃん〉、そして、〈尻尾の短い彼女〉である。この出会いは本当にただの“縁”だったのか。“必然”か、はたまた“運命”か。世代のバラバラな四人と奈ノ花の関係性が見えてくるのと同時に、奈ノ花が「幸せとは何か」の答えを見つけ出していくというストーリー展開が楽しくて、私はこの物語の世界に引き込まれた。

本書をすべて読み終えてから、私自身も「幸せとは何か」ということを考えてみた。考えてみたからこそ、「幸せ」という大きすぎる問いに、一つの解を形づくることの難しさを知った。これを、奈ノ花は小学生にして、学校の外の友人からヒントを得るのみで、自分なりの「幸せ」というものを見いだしたのだから、すごいものだ。それぞれ衝撃的な過去を歩んできたからなのか、四人の友人たちの奈ノ花へ向けた言葉は、私の心にも重くのしかかり、深く響いた。そして、他人を思いやる心、それを持つことのできる喜びと周りとのつながり、そのかけがえなさに触れた。そして、私自身も、自分なりの答えにたどり着くことができた。「自分を見失わずに、自らの意志で人生を歩めること」が、私の思う「幸せ」である。自分のやりたいことは何なのかということを日々考え、学びを深めていきたい。何かに挑戦したいと思った時には、他人の意見に流されることなく、強い意志を持って行動していきたいと思うのである。

人は誰しも、自分の人生に意味を見いだしたいものである。大切なことに気づけたら、世界はもう一度動き出す。
この記事の中でご紹介した本
また、同じ夢を見ていた/双葉社
また、同じ夢を見ていた
著 者:住野 よる
出版社:双葉社
以下のオンライン書店でご購入できます
「また、同じ夢を見ていた」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
【書評キャンパス】大学生がススメる本のその他の記事
【書評キャンパス】大学生がススメる本をもっと見る >
文学 > 日本文学 > 青春関連記事
青春の関連記事をもっと見る >