参加者:デーナ・ルイス(翻訳家)、高橋良平(フリー編集者)、大和田始(翻訳家) 司会・本文構成:岡和田晃 山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(3) SFセミナー2018本会企画 於:全電通労働会館【東京】|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2018年9月12日

参加者:デーナ・ルイス(翻訳家)、高橋良平(フリー編集者)、大和田始(翻訳家) 司会・本文構成:岡和田晃
山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(3)
SFセミナー2018本会企画 於:全電通労働会館【東京】

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第6回
●6:山野浩一をどう位置づけるか

岡和田 
では、3つ目の質問。これから、山野浩一をどう再評価していくか、というフェーズに移っているのかなと思います。小説も、東京創元社の傑作集は電子書籍でしか入手できない状態です。他の第一世代の作家とも微妙に違うような位置づけにあると思います。SF史・文学史・文化史へ、どう位置づけていけばよいでしょうか?
デーナ 
私は日本語を話し日本のSFに興味のある外国人ということで、いろいろな集まりに参加してきましたが、私にとって――ニュアンスが悪くなるかもしれませんが――「知的に一番挑戦された場所」というのは、山野さんのところだったのですね。そんなに海外のSF界と違う雰囲気と思わなかった。ボストンのワールドコン(世界SF大会)と、日本のDAICON(大阪でのSF大会)は、すごく似ている雰囲気だったのですけど、NW-SFの集まりには、演劇もあり、政治もあり、革命もあり、ぜんぜん違う雰囲気だったのですから。山野さんが自分でおっしゃっていたように、政治的なんです。
私が自分で書いているSFには、そのような要素はないのですけど、自分がそうやったらいいなと思う雰囲気だったのですね。
岡和田 
つまり、日本のSFに知的・政治的なものを持ち込んだ人という評価ですね。大和田さんはどうでしょうか?
大和田 
山野さん、最初は小説と評論と2本柱だったのですけど、批評は単著が出ていませんね(岡和田さんが作っていますが)。日本のSFが始まってから50年以上経ちましたが、作家としては半村良、批評家としては山野浩一、これに尽きると思います。山野さんも私も、SFを読んで育ってきたわけではないですが、普通に文学や哲学を読んできた延長でSFを読むようになった・つまり、外側から見てSFの可能性に気がついて、それを伸ばす方向で、そのためにはどうしたらよいかと、「NW-SF」で文学運動をしたわけです。そういうところが、これから評価されるんじゃないでしょうか。
大和田 
作家としてだけではなく、評論家としても評価されるほうがよい、という話ですね。
高橋 
松岡正剛の「遊」という雑誌とか典型ですが、SFと前衛的なものが接近していました。『X電車で行こう』の同時期の新人作家は『東海道戦争』(ハヤカワ・SF・シリーズ、1965年)という短編集を出した筒井康隆でした。そういうわけで、同じ時期にSF界から出た新人は、その2人であったわけで、その意味で筒井さんとよく似たスタンスのSF作家ではないかという気がします。60年代からの70年代にかけての全体的な文化現象のなかで、自覚的にSFを選び取った人だという気がします。
岡和田 
1960年代−70年代の全体的な文化状況のなかで、山野浩一を位置づける必要があるという話ですね。ちょっと時間を超過しているので、質疑。
麻枝龍 
自分は麻枝龍と言いまして、山野浩一で卒論を書こうとしているのですけど(会場どよめく)、高橋さんの説明で筒井康隆の話が出ましたけど、山野浩一との類似性は語られましたが、差異性については、どのあたりにありますでしょうか?
高橋 
それは、筒井さんが持っている演劇性のようなものかと。筒井康隆さんは自分が俳優でもあるが、山野さんは演出家。自分では演技をする人ではない。それだけ、「理性」が勝っている部分があり、俯瞰的に見ちゃう。そのへんが作品の数の少なさにつながるんですが、山野さんにもっと書いてほしいと言うと、書きたいことは書いたとおっしゃるんですね。「小説世界の小説」の続きは、というと、「あれはあれでいいんだ」という。
岡和田 
「小説世界の小説」は、序章にあたる未発表原稿も発掘できましたので(「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.74」の「山野浩一とその時代(3)を参照)、今後、そのあたりの解釈が、課題になってきますね。若者も山野浩一に興味をもっているということからもおわかりのとおり(笑)、これから本当の意味で「山野浩一の時代」が始まるということです。
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